前ページ

「ノレッジさん、私、幸せです。あの時、本当に死ぬと思っていたのに」

 突然彼女は砂浜に座り、恥ずかしそうに海を見つめながらそう言った。今は夕方……夕陽が海に射して、辺りが真っ赤に染まっている。

「僕もとても幸せですよ。いや、幸せだよ。僕もずっと、君の事が好きだったから……今生きていてくれて……元気になってくれて心の底から嬉しく思う」

「ノレッジさん!私も貴方の事が大好きだから……ずっと傍にいて欲しい!」

 レンダーは顔を炎のように赤くしながら……そして目を潤ませながらそう言った。僕は、そんな彼女を愛しく思い抱き締める。きっと、こうやって抱き締めるっていう事は誰かに教わる事じゃなくて本能的なものなんだと思う。

「僕はずっと傍にいるよ。あの時命を懸けたように、これからも君を守り続ける。ね?」

「ノレッジさん、私も永遠に」

 こうして……僕達は、長い長いキスを交わした。そして、未来を……永遠を誓った。二人とも死を乗り越える事が出来た。これから先、どんな事があっても僕達を切り裂くものはないだろう。例え、ルナリート君がかつて経験したように魂の離別があったとしても……僕達も大丈夫だ。こんなにもお互いを想う事が出来る。

 

これが『永遠の心』だったんだ。

人を愛し、愛される。

永遠に同じように想い続ける事ができる。

何があっても、どんなに離れていても変わらない。

 

ようやくわかったよ。

これが、僕の今まで生きてきた意味なんだ。

 

 


目次

第四節へ