「レンダー!」
僕は彼女の手を強く握り締め、『治癒』の神術を使った。昔のように思うように神術を使う事は出来ないが、少しは効いてくれるはずだ!
「ゲホッ!ノレッジ様……お父さん、お母さん」
気管に溜まった血を吐き出し……レンダーは何とか意識を取り戻してくれた!
「良かった!」
皆が彼女に抱き付く。しかし……
「……みんな……本当にありがとう。でも私は、もう生きられない。ノレッジ様……私には自分の命が間もなく……終わりを迎えるという事がわかります。今は……ゲホゲホッ……一時的に……戻っただけ」
そう言うと、彼女は再び意識を失ってしまった!
「僕は……絶対に君を死なせない!」
僕はその言葉と共に、レンダーに『停止』の神術をかけた。助ける方法を見つけるまでの時間稼ぎだ。……さっきからの『神術』の連続使用で体中が痛むが、今はそんな事を気にはしていられない!
「二人はそこでレンダーの傍にいてあげてください!」
「わかりました!」
そうして、僕は『聖石』を取り出した。『聖石』は、輝水晶でできており『神術』のエネルギーを蓄える事ができる。これはルナリート君の『転送』のエネルギーが蓄えられており、有事の際に使用するようにと僕とセルファス君達に支給されているものだ。聖石を使えば、人間でさえも『神術』を使う事が出来る。
「知識の街リナンへ!」
僕の姿が消え、景色が瞬時に塗り替えられリナンの中央図書館の前に到着した。すぐさま、僕は閉まっている門を叩く!
「リウォルの街を統治するノレッジです!開けて下さい!」
僕は無心に叫んだ!一刻の猶予もないからだ!
「これはこれは……ノレッジ様。こんな時間にどうされました?」
リナンを治める、ディクト氏が出てきてくれた。それなら話が早い!
「レンダーが危篤状態に陥りました!助ける方法を探しています!」
「何と!それは早く探さないといけません!私も手伝いましょう!いえ、集められるだけの者を集めます!」
こうして、ディクト氏の声で200名もの学者が集まった。人間界の知識、そして天界の知識が信じられないスピードで調査されていく。だが今は1秒ですら過ぎるのが憎い。そして、無限とも思えるような時間の果てに……
「見つかりました!瀕死の人間、いえ死後すぐの人間ですら助けられる方法です!」
それを発見したのは学者の一人だった。僕とディクト氏はそれが書かれた本を食い入るように見た。
「……禁断神術『蘇生』か」