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「はいっ、パパ!わたし、ママのお手伝い頑張ったのよ!」

「ルナさん、沢山食べてね!」

 満面の笑みと共に差し出されたもの、それは……

「サンドウィッチか!今日はまた一段と美味しそうだなぁ!」

 様々な具が彩り鮮やかに入っており、香りもいつもより一段と芳しい気がする。それは二人の愛情を料理から感じ取っているからかもしれないが、美味しそうだし早速食べてみよう。

「う……うまい!」

 私は、大袈裟かもしれないが、全身に染み渡るような美味しさを味わった。

「良かった!」

 そんな私の様子を見て、二人は手を取り合って喜んでいた。

 こうして、木漏れ日と柔らかな風に吹かれながらの一家団欒が始まった。

「昔から、ずっとこんな日々を夢見てたわ」

 3人で美味しい昼食を食べて、リルフィが周りで四つ葉のクローバーを探して始めると不意にシェルフィアが呟いた。

「そうだな、私達が恋人になった時からの夢……いや、フィーネが小さい頃からの夢かな?」

「ふふ……流石ルナさん、何でもお見通しね。ずっと憧れてた……フィーネもシェルフィアも生まれた時は平和な日常じゃなかったから……でも、今はこうして夢が叶ったの。大好きな人と一緒に見る、何処までも澄み渡る空……何者にも怯えなくていい日々……そして、ここにいてくれる私達の可愛いリルフィ。その成長を見守っていける掛け替えの無い幸せ」

 まだまだ言い足りないようだったが、シェルフィアは言葉を止めてニッコリと微笑んだ。

「シェルフィア」

 私は彼女が愛しくてしょうがなくなり、抱き締めようとした時だった。

「四葉のクローバー見つけたよっ!」

 私達は驚いて思わず仰け反ってしまった!そして、赤面する。

「リ……リルフィ良かったわね!」

「お……おめでとう、リルフィ!それは大切にするんだぞ!」

 いつもと違う私達の様子にリルフィは不思議そうな顔をした。

「パパ、ママ何かあったの?」

「いや、何でもないよ。さて、次はリウォルの湖に行こうか!」

 私はそう言って、リルフィを肩車した。すると、途端に彼女は嬉しそうに私の頭を両手で持つ。

「うんっ!」

 こうして、私達はリウォルの湖へと向かう事にした。

 

 200年以上前から変わらぬ景色……穏やかな風を受け細波を立てる水面、そして遥かなる山々の壮大な影。ここは、私とフィーネが愛を確認し……シェルフィアとして生まれ変わった後に生涯、いや永遠の伴侶として生きていく誓いを交わした場所だ。今は夕刻で、辺りは紅色に染まっているが直に月と星明りに包まれるようになるだろう。

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