わたしがボーッとしていた所で、ハルメスさんがわたしの背中を叩いたのでびっくりした!
「はっ、はいー!」
こうして、わたしはまず修行内容の話を聞いた。この国の近くに無人島があり、そこにある施設でトレーニングを行う。施設にはハルメスさんの製作した様々な装置がある事もわかった。そして、ルナ達が帰ってきたら3人でトレーニングするという事も聞いた。
「話は大体わかりましたー!わたしはルナ達が帰ってくるまで、その施設でトレーニングをしておけばいいんですね?」
「リバレス君は、なかなか物分りがいいじゃないか。俺が施設まで『転送』で送るから修行に励んで欲しい。ただ、明後日の晩『話』があるから迎えに行くぜ。それでいいかな?」
『話』?何故かハルメスさんの表情は真剣そのものだった。
「わかりましたー……一体何の話なんですか?」
わたしはとても気になってそう訊いた。
「……とても大事な話だ。君にとっても、俺にとっても……勿論ルナ達にとってもな」
ハルメスさんは少し俯いた。わたしは不安になって更に訊くしかなかった。
「ハルメスさん、あなたは一人で何をする気なんですかー?」
そこで彼はまた表情を戻し、わたしの目をしっかりと見つめた。
「明後日、全てを話す。だから今は何も訊かないでくれ……ただ、俺が『調査』する対象は『輝水晶の遺跡』だ。それだけは言っておくよ」
輝水晶の遺跡!?かつてフィーネが命を失った!多くの魂を生け贄にする事で獄界を封じ込めるという!?
「まさか!?」
わたしは叫んだが、明後日までは何も訊くなと言われている。わたしは大人しくトレーニング施設へ向かう事にした。
〜過酷な運命〜
「やはりそれしかないのか」
ここは輝水晶の遺跡の最深部……暗闇の中に浮かび上がる『虹色の輝水晶』の祭壇。そこには、黒く変色した血液が付着していた。そう……この場所はフィーネがジュディアによって命を失った場所。ハルメスはこの場所で調査をしていたのだ。壁や祭壇は、かつてルナリートが発した『滅』によって至る所が削れている。だが、古代文字の判読には十分だった。この文字は、中界創世時の文字とその前の文字とが混同していた。ルナリート達は気付かなかったが壁面は小さな文字で隙間無く埋まっているのだ。だが、2日間調べて、辿りついた結論は先程発した言葉の通りだった。