私はそう言い放った。今までの神は全て、天界を維持し続けてきた。しかし……私には天界の必要性が見当たらない。天使も人間も……同じ魂を持っているのだから!
「そうか……運命を変えるのだな。それも良かろう。今日が歴史の変わり目となる。……ESGを摂取出来ない天使は、やがて力を失い人間と同化していく事だろう。人間だけが創り出す世界……だが、例外はある。お前と……シェルフィアだけは力を失う事は無い。お前達が……人間界を支えていくんだ。そろそろ……時間だ……我もハルメスの下へ」
そう言って……父さんの体は……砂のように消えていく……
「必ず……良い世界を創ります!」
最後に父さんは微笑んだ。その顔は神としての顔ではなく……子を持つ一人の父親の顔だった。
「ルナさん?」
シェルフィアが私の手を握り締める。私は、それに優しく微笑む。
「……これから大変になるだろうけど、シェルフィア、君がいれば大丈夫だから……唯……全ての人々の幸せの為に……いや、何より私達の幸せの為に生きよう!帰ったら……式を挙げような」
私がそう言うと、シェルフィアは嬉しそうに私に抱きついた。私はその頭を優しく撫でる。
「リバレス、お前もこれからずっと宜しく頼むよ」
そう言って私はリバレスの方を見た。すると……リバレスはとても穏やかな表情で笑っていた。
「良かったわねー……ルナ、シェルフィア」
何処か遠い目をしている。私は理由がわからず問いかける。
「急にそんな顔をしてどうしたんだ?」
今までずっと一緒にいたけど、こんなリバレスを見るのは初めてだった。
「……今までありがとう……ルナが主人で良かった。そして、大切な人が出来たからわたしは笑ってサヨナラ出来る」
さよなら!?一体何を言ってるんだ!
「何を言ってるんだ!?変な冗談はよせよ!」
私はリバレスを捕まえようと手を伸ばすが……飛び回って逃げる。
「……わたしは『天翼獣』……天界で生まれ……天界と共に消えるの……わたしはその事を知ってたわ。ハルメスさんと約束したの……ルナとシェルフィアを幸せにしようって」
戦いが始まる前から二人は……犠牲になるつもりで!だからあんなに悲しそうで!