「うぅ……何で」
私は涙で前も見えずにその場に崩れ落ちた……そこに、シェルフィアとリバレスが近付いてくる。
「ルナさん、皇帝」
シェルフィアも涙を流していた。しかし、彼女はそれを拭った!
「ルナさん!泣いてはダメですよ。きっと、皇帝が悲しみます。私達は……前を見ないとダメなんです!」
彼女は強い……確かにそうだ……しっかりしなければ!
「……お前達は良くやったな……我も望んで人間界を滅ぼそうとしたのではない。我には、中界をもう一つ創る程の余力は無かったのだ。お前達二人を生んだのは、人間達に『愛』を持つ事で……人間を救えるのではないかと思ったからだ。だが、お前達が生まれた後に我は獄王より人間界の是非について強く言及される。それで、『新生・中界計画』を発動させたのだ。人間達を守る為にお前達は戦った。そして、お前達は勝利を勝ち取ったのだ」
父さんは事の真相をゆっくりと話し始めた。だが、もう声も弱々しい……
「父さん!そんな事はどうだっていい!何故……私達の為に……兄さんも貴方も死のうとするんだ!?」
私は溢れそうになる涙を堪えながら叫んだ!
「……それは……お前が、我の大切な息子であり……ハルメスが愛した弟だからだ。お前にもわかるだろう?自分以外の誰かを大切に思う心……『永遠の心』を?そして……これから先……どうなるかわかるか?」
私は父の手を握った!段々……冷たくなってきている!
「……心はわかります!でも、でも!」
私は首を振りながら声を上げる。すると、父さんが私の頭を撫でた!
「心配するな……ルナリート……我々の事は心の片隅で覚えてくれているだけでいい……その心は永遠だからな……そして……この後……どうするかはお前が決めるんだ。あの椅子に座るかどうかを」
父が指差した先の椅子……あれは、天界の維持にエネルギーを注ぐ椅子……
「……今、『神の継承』を受けて……『記憶』が全て目覚めました。私は、天界の統治者……でも、あの椅子はもう必要ありません。天界は……今日を持って人間界と同化します」