二人の中のエファロードとエファサタンとしての記憶がそう叫ばせた!光と闇の波動がさらに勢いを増す!その力で、3000階もある塔が激しく揺れる!そして……塔の下層100階程が既に消滅した!さらに、ここは地下……このエネルギーのぶつかりあいで地下には巨大な空洞が出来ると共に溶岩が噴き出した!
「ティファニィ!俺に力をぉぉ!」
「僕はサタンの末裔!負けるはずがないぃぃ!」
二人とも既に限界を超えていた!傷口から血が飛び出し……服は焼け……翼も皮膚も消失しようとしていた!そして次の瞬間!
「ザクッ!」
剣が胸を貫く音が響いた!二人の胸を深く深く!両者は同時に『転送』を使い、正真正銘最後の一撃を放ったのだ!
「ブシュゥゥ」
溶岩だけが溢れる地の底で……二人は胸から血を噴き出した!
「うぐぁぁ……俺の……勝ちだな。これで魔は人間界に……来れまい」
剣を支えに……死にも等しい痛みを堪えながら……ハルメスはフィアレスにそう聞かせた……
「ウグゥゥ……無駄さ……この塔が一部でも残っている限り……転送装置は3日もあれば修復する。束の間の平和を噛み締めるがいいさ……僕の勝ちだ」
獄界の王子フィアレスは動けなかった。流石に胸を貫かれたら……息をするだけでやっとだ……
「3日か……その間に……俺がこの塔を消してやるぜ」
ハルメスも息をするのが精一杯だ……この傷は……エファロードでも癒えないだろう。
「ふん……戯言を……君の人生はもうすぐ終わりだ……未来の心配などいらないだろ?今度は……必ず……ルナリートを……殺してやる」
フィアレスは強気にもそう言った。死ぬ前の強がりなのかもしれないが……それは誰にもわからない。
「……俺はまだ死なない。だがせめてお前は獄界で死ぬがいい」