宝石箱の中に収められた魂……薄桃色に光るそれは……間違いなくフィーネのものだと確信した!
「やはりわかるようだな。エファロードよ。魂を扱えるのは……ロードとサタンのみ」
獄王はそう言って、宝石箱を消した。どうすれば、解放されるんだ!?
「俺は、エファロードは……どうすれば?どうすればフィーネを解放してもらえるんですか!?」
俺は叫ぶ!叫ぶと同時に剣を抜いた。獄王の力は恐ろしい程に伝わってくる。十字架に繋がれながらも、俺は近付く事さえ出来ないだろう。力の桁が違う……
「『エファ』は始まりの者……そんなお前が、たった一人の人間の為に戦うなど愚かだとは思わないのか?確かに、この魂への一切の権限は我にある。だが、我と戦ってまで……この女を取り戻したいのか?」
獄王の声が空間中に響く……体が後退りする。ここにいるよりは、死んだ方がマシだと思えるような恐怖……
「俺は、フィーネを何よりも愛しています。彼女が戻ってくるのならば、他には何も必要ありません。俺の命さえも……彼女は、他の人間の事を考え……優しさを与え……俺に暖かい心をくれました。そして、俺達は『永遠の心』を誓ったんです。だから……俺は戦います。俺達を引き裂くのならば……天使であろうと魔であろうと……神であろうと、獄王であるあなたであろうと!」
俺は体の震えを止めてそう言った。これが俺の正直な気持ち。
「己の信ずる道ならば……死すら辞さぬその心……変わらぬな。エファロードは昔からそうだった。よかろう。ロードとサタンは、戦いでしか相手を理解できぬもの……それが、真理。光と闇は混ざり合わぬ……だが、互いに必要なもの」
その言葉の直後だった。鎖で繋がれた獄王の影から、獄王に似た生命体が生まれた。
「何故、あなたは戦おうとしない!そんな魔術で作った生命体で、俺の相手をしようというのですか!?」
俺は、十字架から動こうともしない獄王に怒りを覚えた。俺は命懸けでここまで来たというのに!
「我が……この十字架から動けぬ理由……神が……天界の封印の間から動けぬ理由……それすらもわからないルナリート・ジ・エファロードならば我の影すらも倒せはしない!」
意味深な言葉だ……俺は、その理由を理解しなければならないのか?
「……獄王……あなたの影を倒せば……フィーネを解放してもらいますよ!」