「リバレス、行くぞ!」
俺は、恐れを振り払って叫んだ。
「オッケーでーす!」
リバレスは元気よく返事を返す……
「ギイィィ」
重々しく扉が地面を擦る音が響く……
「よくぞここまで辿りついたな……エファロードよ」
この空間は!?異様だ!壁も床も無い。そして、振り返ると扉すらも消えている!
上下左右の全てが、暗黒の海……そして、無数の星々……重力も無に帰すような空間……そして、果てしなく広がる空間……
その中で……獄王……十字架に鎖で繋がれた獄王が、空間の中心に浮いていた。
「一体ここは?」
俺は、この異様な光景を聞かずにはいられなかった。
「ここは、獄界の中枢、『断罪の間』。全ての界で生まれし、悪魂を滅する場所……エファロードはそんな事も忘れてしまったのか?」
肩よりも長い髪……やつれ果てた顔……フィアレスが老いたら、こんな顔になるだろうか……それより獄王はまるで、俺がこの場所を知っているのが当然であるかのような口調で話してくる。
「俺は、こんな所に来た事はありません。それよりも、フィーネの魂を返してください!」
俺は叫んだ!獄王の話……この場所……俺には理解できないはずなんだ!
「エファロードよ……100万年振りの再会だというのに……何も思い出せないのか?それとも、まだ記憶が継承されていないのか?」
獄王が、真紅の瞳で俺を見つめた!何故だろう。俺は、その顔に懐かしささえ覚えてきた。
「神は天界と中界に魂を生み出す……獄王は、獄界に魂を生み出す……神の役目は、天界の維持とESGの製造……そして、魂の転生。我の役目は悪魂を滅し魂の転生を行う事。そしてもう一つ……強大な力を持ち……我の力でも完全に滅する事の出来ない悪魂を封印する『深獄』の扉を閉ざし続ける事だ」
獄王は尚も話を続ける。神と獄王は、魂の転生を行う?深獄?獄王はそれを封印している?
「神は……天界で処理できなくなったエネルギーを消費させる為に、中界を占領した!獄界には何の相談も無く……それなのに、我がエファロードであるお前に手を貸す必要があるだろうか?」
獄王が、そう言って空間の中から水晶で出来た宝石箱のような物を出した。
「フィーネ!」