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 俺は、剣に極限まで精神力を集中した!

「無駄だ……我の影は、我が力の1割を注いでいる。生命力は『2億3000万』を超えるのだ」

 獄王が静かにそう話した瞬間の出来事だった!

「スッ」

 影が動いた。というよりも、視界から消えた。

「ブシュッ!」

 そんな音がしたので、俺は音のする方を向く!すると……俺の左腕が切り落とされていたのだ!

「うぁぁ!」

 俺は思わず叫んだ!痛みが急激に押し寄せる!大量の出血に意識を失いそうになる!

「ルナー!『治癒』!」

 リバレスが治癒の神術を使うが……全く効果が無い!

「エファロードよ……早く第4段階の力を見せたらどうだ?次は右腕を切り落とす」

 第4……段階だと?第1が銀の髪……第2が真紅の瞳……第3が光の翼……それよりもまだ上があるのか?

「ズシャッ!」

 考える間も無く……影の獄王が俺の右腕を切り取った!剣も虚しく地面に落ちる!殺される。影の獄王は漆黒の剣を構え、表情一つ変えずに獄王の命令を待っている。

「はぁ……はぁ」

 両腕を失った俺に勝ち目はないだろう。大量の出血と痛みで立っているのもやっとだ……

「まだ目覚めぬか?それならば……この魂を『深獄』に堕とすまでだ!」

 宝石箱に収められたフィーネの魂を『深獄』へ堕とすだと!

 俺の意識が消えていった。いや……ジュディアとの戦いの時のように……何者かに奪われていく……

「……待て、サタン!深獄へ向かわせるべき魂ではないだろう!?」

 俺じゃない何かがそう話す。

「ようやく来たか……ロードよ。久々だな」

 獄王は懐かしいといった顔をした。

「ああ……100万年振りだ。それにしても、酷く傷付けてくれたな」

 何かがそう言った瞬間、切り落とされたはずの両腕は完全に再生した。

「相変わらずの力だな。ロードよ。影はもう必要ないだろう」

 獄王がそう呟き、陰を消した。

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