その言葉の直後だったと思う……巨大な狼の姿をしたファングの姿が消えた!
「ドンッ!」
次の瞬間に見えたものは……体当たりしてくるファングの姿!
「バキバキッ!」
「ドゴォォー……ン!」
俺のあばらが砕ける音……壁に激突する音……意識がそれを理解する前に音だけが響いていた!
漆黒の壁の形状はまるで荊のようで……荊が突き刺さった俺の体はたった一撃で致命傷を負った。
「愚かなエファロードよ……たった一人の人間如きのために……ハッハッハッ!フィーネとかいう女だったかな?……穢れの無い綺麗な魂の色をしていたぞ……今から、切り刻んでから食すとしよう!」
フィーネを切り刻む?貴様が食す!?
「ゲホッ……フィーネは……貴様のような愚物に……触れさせない!」
俺は血反吐を吐きながら立ち上がった!折れた骨も修復されてきた!
「(ルナー!大丈夫なのー!?)」
リバレスが叫ぶ。俺は致命傷を負ったからな……
「(大丈夫だ……俺は、フィーネの為なら戦える!)」
俺は、そう言った。体は完全には、修復されていないが……
「エファロード……第2段階か……生命力、240万!……それでも、ワシには及ばん!死ね!」
次の瞬間、ファングの口から無数の雷弾が放射された!それと同時に、ファングの姿も消える!
「そこだ!」
俺は、宙に飛び上がり拳を突き出した!
「バキッ!」
ファングの腹部に命中する!だが大した手応えもなくファングは飛び退いた!
「ハッハッハッ!効かんなぁ!だが、もう遊びは終わりだ!」
ファングは、俺との距離を最大限に広げた!一体何をする気だ!?
「禁断魔術……『死闇』(シオン)!」
その言葉が聞こえたと同時!このフロアの全てが……深い深い闇の螺旋に変化していく!
ファングの姿も見えない!今俺は、螺旋の中心を猛スピードで落ちている!空間自体が変化したのか!?
「ルナー!?どうなってるのー!?」
リバレスが叫ぶ!この異空間の螺旋の一番下まで落ちれば……死!いや、魂すらもこの空間に閉じ込められるだろう!