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 何という事だ……やはり、この塔は20億年前に神と獄王の争いの結果生まれたもの!そして、下には3000階もの階段が続くのか!?さらに、人間界への扉はかつては封印されていて平和が保たれていた。そう、神が天界の維持の代償に人間を中界に置くまでは……俺は歴史の深さに身震いした。その時!

「貴様は!?堕天使ルナリート!探す手間が省けたようだな」

 階段を登って来た魔!それも、強大な力を持った魔が俺の前に立ち塞がったのだ!

「(リバレス、指輪に変化しろ!そのままの姿でいると、すぐに殺される!神術のサポートを頼む!)」

 俺は、リバレスが魔に狙われる前に彼女にそう促した。

「わかったー!」

 瞬時に、リバレスは指輪に変化した。彼女には、『保護』や『治癒』などで助けてもらうのだ。

「俺様の名は……イレイザー……シェイドと同じく司令官クラス……生命力はシェイドよりも上だ!」

 体長は2m程で漆黒の体だが、俺達天使のような姿で背中には翼が生えていた。だが、それよりも持っている鎌が巨大だ!柄の部分で3m以上!さらに、鎌の長さも2m以上はある!接近しては戦えないだろう。それにしても、塔の入り口でこんな強者に遭遇するとは!俺は、道のりの長さを思うと不安を覚えた。しかし、俺はフィーネの為なら何でも出来る!

「俺は、獄界に用がある。ここを通してくれないか?」

 俺は、そう言いながらも力を限界まで高めて剣に集中した。いつ襲いかかられてもいいように!

「数多くの仲間が、貴様に殺された!貴様にどんな理由があろうと、俺様が貴様を通す必要はない!」

 イレイザーは、力を解放した!シェイド以上の力が、このフロアに充満する!戦いは避けられない!

「俺は、自分の選んだ道に従うだけだ!行くぞ!」

 今まで魔を倒してきた事に罪の意識を感じないわけではない。だが、俺はフィーネを愛し、人間を守るという道を心に決めた。迷いはない!

「生命力220万如きで、300万の俺様に刃向かうかぁぁ!?死ねぇぇぇ!」

 その瞬間!激しい攻防戦が始まった!イレイザーの鎌が頬を掠める!俺は、それをギリギリで避けて渾身の力で剣を打ち込む!しかし、それは鎌の柄で弾かれる!

「ガキンッ!」

 そんな音が、連続でフロアに響き渡った!

「高等神術、『滅炎』!」

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