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 天界から堕ちて怪我をした私を、何の見返りも求めずに
助けた少女……

 昨日、唯一の肉親を失ったばかりの少女が私達に投げかけた
言葉……

 今日も、悲しみに暮れている少女が私を信じると言った
言葉……

 

「あなた達の力が必要なんです!

あなたを信じて待ってますから!」

 

 人間が……人間如きが……どうして、こんなにも『魔』に脅かされ続ける苦しい世界で強く生きられる。

「……フィーネは……本気で私を信じているんだろうか?」

 私は思わず、思った事を口に出してしまった。しかし、その言葉に、リバレスは過敏に反応した。

「(人間なんて、自分の身すら守れない!言い換えれば自分自身を信じることも出来ないのに、他人を信じることなんて出来はしないわよー!)」

 リバレスは、さっきから私が思いも寄らない事ばかり言うのでまた怒り出した。

「(……私もそう思うが)」

 時刻は正午を回っていた。私は妙に釈然としない気持ちを抱えながら、村の外れの大木の下で食事を取った。

 


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