それが意味する事……それは、獄界から人間界に来る魔の全てと対峙しなければならないという事……俺は身震いした。
「……内部の構造はわかりますか?」
俺は恐ろしさに唾を飲み込みながら、そう訊いた。人間界と獄界との接点はどんな構造なんだろうか?
「詳しくはわからないが……天界の書物によると巨大な塔のような構造らしい。数千階もの高さの……そう、天界と人間界をつなぐ贖罪の塔と同じ高さらしいが。何にせよ、苦しい戦いになる」
ハルメスさんは深刻な顔をした。きっと、俺を心配しているんだろう。
「獄界への道にはどうやって行けば?」
心配している彼に、更に質問をする。俺の心は焦っていた。こうしている間にも、フィーネの魂はどうなるかわからないのだから……
「……明日の日の出と共に、俺が獄界への道の入り口まで送ってやるぜ。要塞のような島だからな……俺がこの街を離れると、街の結界は消えるが……今はそれどころじゃない。他でも無い、ルナとフィーネさんの為だ」
そう言うと、ハルメスさんは目を閉じた。数秒たって、目を開けると目は真紅に変わっていた!そして、背中に光の翼が生まれた!
「……ルナとそっくりーじゃないのー!?」
リバレスが驚くのも無理はない!顔は違えど、感じる力や姿の変化は俺にそっくりだったからだ!
「ふぅ……ルナ、リバレス君、今日はゆっくり休むんだぞ……明日からの重労働に備えてな!」
元の姿に戻ったハルメスさんが優しく言った。焦る気持ちは強いが……この夜が、人間界での最後の夜になるかもしれないんだ。
俺は、自分の命にかえてもフィーネを救う気だ。
「はい、ハルメスさん、俺は貴方に、感謝しています。心から」
俺は、深く礼をしてから部屋への道に就いた。貴方に会えて、俺は強くなれました。
明日は獄界に向かう……俺の事を理解する、最高のパートナーと共に……
部屋は暖炉の火に暖められて、窓は曇って真っ白だった。それを、指で擦ると美しい空の月が現れた。
少し窓を開けると……雪は止み……澄んだ空気と……肌を刺すような冷たさを感じた……
君は今何処で何を見ているんだろう。今は、同じ景色を見る事は出来ないけど、必ず、ミルドの丘に行こうな……