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「わかってる。……でもな、フィーネは俺を信じて死んでいったんだ。俺は、約束したよ……何年かかっても絶対に見つけ出すって……でも、俺は待てないんだ!獄界でフィーネの魂が傷付けられるのも耐えられない。それ以上に、離れてしまった心が苦しいんだよ!俺には、フィーネが必要なんだ!……でも、お前には獄界へ来いなんて言えない。お前まで危険に晒したくないから」

 俺は正直な気持ちを叫んだ。リバレスは来なくていい……フィーネを助けるのは、俺の問題なんだ。

「……それで万が一、フィーネの魂を解放出来たって……永遠を心に刻んでいたって、転生したら記憶は失われる!それが、現実なのよー!甘い幻想を見るのは、いい加減にしてよー!」

 リバレスは、必死で俺を止めようと辛い現実を叩き付けた……そんな事は理性ではわかってるんだ!

「……幻想だっていい!俺は『永遠の心』を約束したんだ!でも、もし……転生して、フィーネが全てを失っていたら……それでも構わない。それが……俺がフィーネにしてやれる唯一の事だから!」

 この言葉でリバレスを納得させられるとは思わなかった。それでも、俺は真剣な目で彼女を見つめた。

「……もー!また、ルナは勝手にそんな事を決めるでしょー!?……じゃー、わたしが自分の意思で獄界に行くのも勝手でしょー?わたしだって、フィーネを助けたい。それ以上に、ルナが心配なのー!……それに、わたしはルナがいないと生きていけないから」

 今度は、リバレスがそんな事を言ったので俺は驚いた!

「何で、そうなるんだよ!?獄界が危険なのはわかってるだろ!?大人しく、人間界で待ってるんだ!」

 俺は、必死でリバレスを制止する。これじゃあ、立場が逆だ……

「……ルナー、勝手なのはお互い様よー!ルナが、わたしを心配するように、わたしはルナを心配してるのー!何でも、一人で出来ると思ったら大間違いよー。ね?早く、フィーネを助けに行きましょー!」

 と、リバレスは微笑みながら言った。これじゃあ、まるで俺が子供だな。

「……ありがとう……お前は最高のパートナーだよ」

 こうして、俺達は『獄界』へ行く為にフィグリルへ戻る事にした。ハルメスさんに、神術を使って合図を送る。すると、夕暮れ頃に迎えの船が来た。船に乗って、島を離れる時……白い大地が夕陽に照らされ、温かい光を放っていた。その中で、断崖にポツンと立つフィーネの体の眠る標は……悲しそうに輝いている。俺は、それを見て再び涙が溢れるのを感じた……

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