何故……誰よりも愛する人を!眠っているだけのように見えるのに!
「……ルナー、ごめんね」
フィーネを直視する事も出来ない俺に、リバレスはそう囁いたと思うと、俺に『神術』を使った!
「……リバ……レス」
中級神術『催眠』だった。3日以上眠っていない俺の意識は……暗闇の底に沈んでいく……
リバレスは……俺をこれ以上……悲しませないように……
俺は夢を見た。フィーネと過ごした楽しい日々の夢を……
ミルドの丘……レニーの街での祝宴……ルトネックからの漂流……リウォルの街……初めて愛が触れ合ったリウォルの湖……
そして……永遠を誓ったフィグリルでの夜……
そんな、シーンが流れた後に……フィーネが獄界に堕とされる最悪の情景が現れた!
それが消えた後……最後に俺は何も見えない闇に包まれる。
俺が……俺が間違っていたんだろうか?俺の所為でフィーネは死んだ。消えない本当の幸せを知る事なく……それでも君は幸せだと言ってくれた。俺に、フィーネを守る力が初めからあれば!何て非力なんだ!いつも君は俺に微笑んでくれた。俺も最初から、もっと優しくすれば良かったな……ごめんな……もし……時が戻るなら、俺は絶対に君を離しはしないし……辛い目にも遭わせないのに!……いや……それは、単なる現実逃避に過ぎない。
フィーネを救う……それには、たった一つだけ方法があるんだ。恐ろしくて踏み出せないだけで!でも、君は俺を信じて……『死』すら恐れずに最後まで微笑んでくれた。俺は、何を恐れる必要がある?……『永遠の心』……俺達は魂にそれを刻んだ。俺が、命をかけて君の魂を開放する。普通は、転生したら記憶も心も消えるけど、
フィーネなら大丈夫だよな?100年……1000年……一生かけるって言ったけど、どうやら無理みたいだ。
心が、冷たくて痛くてどうしようもないんだ。今すぐ迎えに行ける方法があるから、すぐに行くよ……どんな苦しみよりも……痛みよりも……そして死ぬ事よりも……君の魂と離別する事の方が辛いってわかったんだ。