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 俺は、意識が戻ると同時に悲しみも蘇ってきて、枯れたはずの涙が再び溢れ出た……

「ルナー!しっかりしてよー!」

 その後……涙が収まってから……俺は、フィーネの冷たい体を抱きかかえて、遺跡の階段を上っていった。

 遺跡の中も……外の世界も……とても寒かった。心も体も……生きる者は全て凍りつく……そんな冷たさだった。

 外に出ると……吹雪で前が見えなかった。

 私達が好きだった雪がフィーネの体に降り積もる。それが堪らなく悲しくて……私は必死に雪を手で掃い続ける。

「……ルナー、今からどうするのー?」

 俺の肩に乗り、吹雪が目に入るのを手で遮りながらリバレスが
不安そうに訊いてきた。

「……フィーネを……誰にも触れられないように」

 俺はそう言って、吹雪の中を歩いていく……今は、夕暮れ時だが目の前は真っ白だった。

 歩き続けて……俺は、この島の西にある断崖までやってきた。

 この島の遥か西の方角には、ミルドがあるから……君が育ち、俺達が出会った。

 俺は、断崖の先端付近に穴を掘り……フィーネの体をゆっくりと入れた。

 その瞬間、また涙が溢れ出て……俺も死んでしまいたいとさえ思った。

 しかし……『約束』がある。ここで、希望を捨ててはダメなんだ。

 その後、フィーネが何者にも触れられぬように……フィーネの周りに強力な結界を張る。人間すら触れられないような……

 そして……『フィーネ』の姿を見られる最後の時がやってきた。フィーネの体はどんどん雪で覆われていく……

 俺の心とは裏腹に……フィーネの顔は安らかだった。まるで……何も不安な事が無いかのように……

「ルナー、フィーネは、きっと最後までルナを信じてたのよー……それで、今も何処かでルナが来るのを待ってる」

 俺の心を見透かしたかのように、リバレスが呟いた。そんな風に俺を励ます彼女の目からも涙が流れ落ちていた。

「……そうだ……『永遠の心』を持った魂は消えはしない」

 俺はそう言って、フィーネに土を被せ始めた。永遠を信じていても……この瞬間が余りに悲し過ぎて手が進まない。

 涙で何も見えなくなるのを、歯を食い縛って耐えた。何故……未来を誓った女性を俺が葬らなければならないんだ!

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