「フィーネ!もう12時だ!」
神殿を離れてから、既に8時間以上が経っている。心配されているかもしれない!
「12時!昼のですよね!?」
私達は、急いで旅の服に着替えて、支度を済ませて宿を出た。
「うわぁ……一面、真っ白ですね!」
宿を出た私達の目に飛び込んできたのは、白亜の街に雪が降り積もり、何もかもが純白に染まっている光景だった。
「私も、こんな光景を見るのは生まれて初めてだよ」
天界に雪は降らない。私は、初めての銀世界に感動していた。そして、この光景は私達を祝福しているかのように見えた。
「ルナさん」
フィーネは白い息を吐き、私の手を握り締めた。そして、彼女の頬は薄紅色に染まっている。
「ん?フィーネ、どうしたんだ?」
私も手を握り返し、神殿へと歩く中で私はそう聞き返した。
「……昨日の事……私、一生忘れませんよ。ううん、生まれ変わっても絶対に」
フィーネは、私の目を見つめた。お互いの頬がどんどん朱に染まる。
「ああ、私も絶対に忘れないよ……これからも、ずっと仲良くやっていこうな」
私は、人目も気にせずフィーネの体を抱き締めて優しく持ち上げた。
「ルナさんっ!……大好きです!」
顔を真っ赤にしながらも、フィーネは満面の笑みでそう言った。
「私も、フィーネが大好きだよ。よし!このまま神殿まで走るか!」
私はそう言って、フィーネを抱えて神殿まで走った。このまま、未来を二人で走りたかったからだ。
そう……私達は幸せだった。誰よりも……何よりも……
〜第一楽章『氷の歯車』〜
私達が、神殿の前まで着くと、怒ったリバレスと呆れたハルメスさんに囲まれた。
「おいおい……恋の逃避行かと思ったぜ!」
ハルメスさんが私の肩を叩く。何も言い返せずに、私は頭を下げるしかなかった。
「ルナとフィーネの馬鹿!心配したんだからー!」
リバレスが、私を何度も叩く。怒られても仕方ない。
「リバレス(さん)、ハルメスさん。すみませんでした!」
私とフィーネは同時に深く謝った。これからは、愛し合っているとはいえ勝手な行動は慎もう……
その後、私達は昼食を取った後に神官の部屋に集合した。今後の作戦を決める為だ。
「さぁ、始めよう。作戦は大体決まっている」
ハルメスさんが、神官の椅子に座る。そして、その一番近くに私が……続いて、フィーネとリバレスが座った。