「そうだなぁ……ノレッジ!何かいい案は無いか!?(ジュディアが喜びそうな)」
何故か、セルファスはノレッジにヒソヒソ声で訊いていた。
「そんな事言われましてもねぇ……ルナリート君はどうですか?」
困ったノレッジは僕に振ってきた。僕は、一つやりたい事があったので即答する。
「僕は、『かくれんぼ』がしたい」
そう言うと、みんな納得してくれてかくれんぼが始まったんだ。大きな木の穴に隠れたり、石の陰に隠れたり……セルファスなんか、地面に穴を掘って隠れてたからびっくりしたよ。ノレッジは、空を飛んで木のてっぺんに隠れてたから最後までわからなかったなぁ……僕とジュディアは同じ所に隠れたりしてたから、すぐ見つかったよ。楽しい時間はすぐに過ぎて、夜中の4時くらいになった。早く帰らないと、早起きの人に見つかってしまうんだ。
「急ぎましょう!」
それに気付いたノレッジが真っ先に、翼を広げたよ。それに続いて、僕達も『神殿』に向かって飛んでいく……何だか、少し空が明るくなって来た時は焦った。でも、何とか誰にも見つからずに、神殿の2階の民間天使居住区まで辿りついた。居住区の中央で僕達は翼をたたんで別れたんだけど、セルファスとノレッジとジュディアは同じ方向で、僕は孤児院だから逆の方向なのが寂しかったな。そうして、僕はゆっくりと一人で歩いてた。すると、三階へ続く階段の上から大きな声がしたんだ。
「……ですから……というんです!?」
ハルメス兄ちゃんの声だった!誰かと言い争ってる!?僕は息を殺して、忍び足で階段を上がっていった。
「貴方は、成績が最優秀でありながら……学校の教えが気に入らないと言うのですか!?」
もう一つの声は、神官ハーツ様の声だった!この天界で最高の権力を持つ!
「私は、神の存在を否定しているのではありません!唯……厳しい戒律と、思想の画一化を推し進める、『貴方が作った学校の教え』が間違っていると言っているんです!」
兄ちゃんは、神官に反抗している!?言葉の意味はわからないけど、神官に反抗したら捕まるんじゃないの!?
「いい度胸ですね。私にそこまで歯向かうとは!そうです!あの教えは全て私が作ったもの……そう、戒律も!それを知った貴方は……どうなるかわかっていますね!?……数時間後にハルメス、貴方は捕らえられます!せいぜい、余生を楽しむことだ」
そう言って、神官は去っていった。僕は、すぐに兄ちゃんの元に駆け寄る!