「ありがとう、兄ちゃん!一生大事にする!」
僕は、そう言って兄ちゃんに抱きついたんだ。
「大袈裟だって!それはそうと、友達が増えて良かったなぁ!」
兄ちゃんは照れてたけど、嬉しそうだった。
僕はそれからしばらく経った日に友達を連れてきた。すると、兄ちゃんはとても喜んでくれたよね。兄ちゃんは、ジュディアにもセルファスにもノレッジにも慕われてた……僕だけの兄ちゃんじゃ無くなった気がしたけど、そんな日々が楽しかったんだ。
あるレッドムーンの日……
今日は、大人達が外に出ない不吉なレッドムーンの日。でも、唯一僕達みたいな子供が夜に外へ出ても、バレずに遊べる日なんだ。もちろん、言い出したのはセルファス。彼は昔からレッドムーンの日に遊んでたらしい。それでも、僕達は1000歳になったら学校に行って、この世界の法律に従わなければいけない。1000歳を過ぎて、レッドムーンの日に外出したら捕まって死刑になるんだよ。僕達は、夜の12時に噴水前に集まった。見つかったら怒られるっていうスリルが凄かった。
「よーし!集まったな!出発だ!」
っていうセルファスの掛け声と共に、僕達4人は森に向かって空を飛んだ。外出するだけでも禁止されてるのに、こんな夜中に飛び回っている事が知れたらどうなるか……でも、何事もなく森に着いたんだ。
「セルファス、何をして遊ぶの?」
ジュディアが、真っ先にセルファスに訊いた。彼は今では僕らのリーダー格みたいだ。
「うーん……せっかく大人達もいないし、『術比べ』をしようぜ!」
『術比べ』っていうのは、公園の外れにある恐い姿をした『魔』の彫像に、『神術』をぶつけるっていう遊びなんだ。
「でも、僕は『神術』なんて使った事がないよ?」
僕はセルファスに訊き返した。神術っていうのは学校に行って習うものだから、子供は知らないはずなんだけど。
「ルナリート君。神術は、精神力を集中して『結果』をイメージするものなんです。例えば、炎の初級神術である『焦熱』を使う場合は、集中して頭の中に炎を思い浮かべて、それを対象にぶつけるイメージと共に『flame』って術式を描くんです」
と、ノレッジは得意げに語った。
「ノレッジは物知りだなぁ……僕は、そんな事全然知らなかったよ!みんなは、神術を使えるの?」
僕は、ちょっとワクワクしながらみんなに聞いたんだ。
「おう!俺は、初級神術の『落雷』を使えるぜ!」
セルファスは自信満々で、自分の鼻をこする。