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「おう!お前も女なら、他の女の子と遊べよ!俺は後ろの男に用があるんだ!どけ!」

 セルファスっていう男の子が乱暴に、友達のジュディアを手で押しのけた。

「キャッ!ルナ、逃げて!」

 押しのけられて転んだジュディアが、僕を逃がそうと叫ぶ。でも、僕は何もしてないジュディアが傷付けられるのが許せなかった。

「喧嘩はやめて仲良くしようよ!」

 僕が叫んだのにも関わらず、僕はセルファスとノレッジに囲まれた。

「男のくせにだらしない事ばっかり言いやがって!その根性叩きなおしてやるぜ!」

 そう叫んで、二人は僕に殴りかかった。でも、

「僕はみんなと仲良くしたいんだよ!」

 僕は二人の拳を指一本で止めていた。僕は、みんなと違って凄い力があるんだ。それで、みんな僕を恐がって友達になってくれない。唯一友達になってくれたジュディアも、お父さんが『命を司る間』の司官で、お母さんが『神術を司る間』の司官。両親が強い権力を持ってるから、他の子供達の両親も恐がってジュディアと遊ばせなかった。だから、家を出たら一人ぼっちの僕達が友達になったんだ。

「お前……強いな!友達になろうぜ!」

「セルファス君!……まぁ、セルファス君が言うんなら友達になりましょう」

 僕はこの二人も逃げると思ってた。でも、友達になってくれるって言ってくれた!

「うん!友達になろう!でも、その前にジュディアに謝ってからだよ」

 僕がこう言って、二人はジュディアに何度も謝った。それで、僕達は仲良しになったんだ。セルファスは838歳、ノレッジは700歳みたい。もちろんその事は、帰ってきたハルメス兄ちゃんにすぐ伝えたよ。

「ハルメス兄ちゃん、僕今日友達が二人も増えたんだ!」

 僕は兄ちゃんにニコッと笑いながら言った。

「おぉ!ルナ、それは良かったなぁ!」

 兄ちゃんも自分の事のように喜んでくれて、僕の頭を撫でてくれた。

「兄ちゃん、学校は大変なの?」

 僕はちょっと疲れている兄ちゃんの顔を見てそう訊いた。

「そうだなぁ、勉強は難しくないんだけど、俺は自由を奪う教えは間違ってると思うんだ」

 兄ちゃんは、いつもの通り僕に自由の在り方について教えてくれた。僕はそんな兄ちゃんの考え方が好きだ。

「ルナ、でもこんな事を他の天使に言っちゃダメだぞ!恐い神官に捕まるからな!この本は、俺が書いた本だけどお前にやるよ」

 僕は、この時兄ちゃんの書いた『自由と存在』っていう難しい本を貰った。内容は、今はわからないけどとっても嬉しかったよ。

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