私の体は動きそうに無い。苦痛の息が漏れた!
「ルナー!」
すぐさま、リバレスが近寄り、私に『治癒』の神術をかける!しかし、それを魔が黙って見ている筈も無い!
「天翼獣如きが邪魔をするなァァ!」
刹那で間を詰められて、リバレスに魔の裏拳が炸裂した!
「キャー!」
この塔に響き渡る程の叫び声で、リバレスが遠くの床に叩き飛ばされた!
圧倒的な力だ!絶望的な程……力の差を感じる。
「リ……リバレス!」
私は、少し回復した体で剣を杖代わりに立ち上がって叫んだ!僅かに……生命力を感じた。リバレスは瀕死ながらも生きている!リバレス!こいつを倒したら必ず助けるからな!……お前を死なせはしない!
「貴様の相手は……俺だろう!」
リバレスが瀕死になって、自分自身が死の淵まで追い込まれて……俺の力の一部が解放された!髪が銀色に染まる!
「エファロード!」
魔に動揺が見られた!しかし!
「アハハハハハハハ!それが第一段階か!笑わせるねぇ!」
低い声で嘲笑が響く……だが、今の俺の力ではこいつを倒すのは容易い筈だ。
「何が可笑しい!?」
俺は怪我が治っていくのを感じながら、剣先を魔に向けた!
「その力で、今の私を殺せても……上で待つ主の足元にも及ばないということさ!愚かな堕天使よ!」
今の俺の力でさえ、魔に勝てない?空言を!いや……もしかすると……俺の頭は少し混乱した。
「油断したね!私は主の一部に過ぎない!偵察に来ただけなんだよ!上で会おうじゃないの!」
俺の一瞬の隙をついて、狡猾な魔は消えた。ただ、俺の偵察に来ただけだと?それより!
「リバレス!」
崩れた大理石の転がる横にリバレスは倒れていた!
「治癒!」
普段の数十倍の力で、俺はリバレスに治癒の神術を使った!瞬時にリバレスの傷が治る!
「うーん……ルナ!?」
俺はリバレスの頭を優しく撫でた。お前がいなかったら、二人とも殺されてたよ……
「大丈夫か?」
俺はリバレスに微笑んだ。
「わたしは……大丈夫だけどールナ、髪が銀色になってるわよー!」