丁度3時間……そこで、最初に目覚めたのは私ではなくシェルフィアだった。

「ルナさんっ、リバレスさん時間ですよ。起きてください!」

 シェルフィアが優しく私の体を揺さぶる。

「早いな、シェルフィア」

「う、うーん……そういえば、シェルフィア昔も早起きだったもんねー」

 私達は眠い眼を擦って立ち上がった。

「ふふ……ルナさんのご飯を作らなければいけないのに、ルナさんより遅くに起きちゃダメですからね」

 緊迫した空気を打ち消す、シェルフィアの笑顔と声はまるで天使のようだった。

「頼りにしてるよ。行こうか!」

 私はシェルフィアの頭を撫でて、すぐに出発した。飛行を再開して6時間程が経つ……ここは1500階だ。

「来ましたね。愚かな脱落者が!」

 細身の……何より眼鏡が似合う秀才……ノレッジが私達の前に立ちはだかる。

「お前まで私の道を閉ざそうとするのか?」

 私は失意の目を向ける。すると、彼は見下したような笑みを見せた。

「君のようなクズを通す理由が僕には見当たらない。神の名を受け継ぐ者でありながら、天界を背く愚かさに言葉もありませんよ」

 ノレッジは首を振る。この男は……友じゃない。私にはそれが理解できた。

「そうか……お前はさぞ嬉しい事だろう。私が天界から消えて、念願のトップになる事が出来たのだからな」

 私は、ノレッジは臆病者だが友だと思っていた。その裏切りに対する思いが、私の口からそんな言葉を走らせる。

「いいえ!元々、僕の方が優れた頭脳の持ち主だったんです!君がいなくとも、僕はいずれ天界一になっていた。それを見せられなかったのが残念ですよ。それに、これから先もそれを見せる事は出来ない。何故なら、君はここで力尽きるのだから!」

 私を殺そうというのか?私は渋々剣を抜こうとする。が!

「ルナー!ノレッジの相手はわたしがするわー!ルナは疲れてるでしょー?休んでていいわよー!」

 私の前にリバレスが立つ!いくらなんでもそれは無茶だろう!?

「リバレス!お前には無茶だ!」

 私が叫ぶと、リバレスは強気に微笑んだ。

「大丈夫よー!友情を裏切った奴の相手なんてわたしで十分!いつも守られてばっかりだから、たまにはいいとこ見せるわよー!」

 確かに……リバレスは成長した。400年以上の付き合いだ……信じてみるか。

「わかった。無理そうなら言えよ!すぐに助けるからな!」

 私とシェルフィアはこうして、フロアの隅に移動した。

 

 

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