「死ネエェェェェェェェエェエエ!」 私が振り返った時には既に、シェイドの口から魔術の刃が飛び出していた!真っ直ぐ私を狙っている! 「キャアァァ!」 フィーネの声!一体何が!?私は一瞬理解が出来なかった。私は少し視線を落としてみる! 「フィーネー!」 シェイドと私の間にフィーネが立ち塞がり……剣が!剣が……フィーネの胸を貫通していた! 「貴様ぁぁ!」 瞬時に俺の髪は銀に染まり瞳は真紅へと変わる!そして、俺は剣でシェイドの頭を割った! 「ギイィィエアァァ!」 それがシェイドの断末魔だった。それより! 「フィーネ!」 俺は鮮血を流すフィーネを抱き起こした。俺の体も血に染まる。 「……ふふ……私もこれでルナさんの為に役に立ちましたね」 フィーネは口からも血を流しながら懸命に喋った。 「バカー!何でそんな事をするのよー!」 リバレスもフィーネを見て泣き叫んだ。 「……ごめんなさい……でも、私は、ね……ルナさんにどうしても……恩返しがしたかったんですよ。あなたは……馬鹿でわがままな私なんかの為に……戦う決意をしてくれた。だから……私は、安心して」 フィーネの体から温度が失われてゆく! 「ルナ!早く治癒を!」 リバレスが叫ぶ前に、俺は普段の400倍以上の力で『治癒』を行っていた。しかし! 「もうやってるよ!……けど、傷が深すぎる!」 可愛らしい顔から血の気が引いていった。それでも、フィーネは俺に微笑みかけた! 「……あなたに会えて良かった。あなたと過ごした日々は……ごめんなさい……せっかく買ってくれた服が台無しですね。でも、私は」 ルナさん、あなたが大好きです。 「フィーネー!」 フィーネは俺の事を好きだと言ってくれた!なのに君は……目を閉じてもう何も語らない!嫌だ!俺は君に返事もしてない!俺も……君が…… フィーネが! 「うわぁぁ!」 俺が大声で泣き叫びながらフィーネの亡骸を抱き締めた時……頭の中から声が響き……俺に言葉を喋らせた…… 「……俺は、ルナリート・ジ・エファロード……万物を超越するこの力を持って、この者に再び生を与える!」 俺の背中に光り輝く翼が現れた!そして……一つの神術の術式が脳裏に現れる! 「禁断神術……『蘇生』!」 さらに膨れ上がった力で、フィーネに生命力を送り込む!傷は塞がり、急速に温かみを帯びてきた! 「……あれ……私は目の前が真っ暗になって……死んだと思っていたのに」 フィーネが目を覚ました!……しかし、その時! 「(……封印装置が作動しました。一分後にこの塔は消滅します)」 頭に響く声!神術でそう聞こえるようにしてあったのだろう!塔が激しく揺れる!今は喜びをわかちあっている場合じゃないな。 「フィーネ、リバレス!しっかりつかまってろよ!」 俺はフィーネとリバレスを抱えて飛び立った!今、俺の背中には翼がある! 激しい光と音を立てて崩壊していくリウォルタワーを背に、俺達はどこまでも飛んでいった。 俺の名は……『ルナリート・ジ・エファロード』……俺は一体何者なんだろうか……
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目次 | 第十一節 |