目を閉じると、雪の降る静かな夜の中、世界にはたった二人しかいないような錯覚が私達を包んでいる。
「ルナさんは、ずっと新しい魂界にいるのね」
嗚咽に混じる囁きのような声。私は頷いた。
それから私達は抱き合ったまま、無言の状態が続いた。シェルフィアは何を思っているのだろう?私が思索を巡らせていると、彼女はゆっくりといつもの微笑みを取り戻して口を開いた。
「さっきは叩いてごめんね」
「いいよ、私が悪いんだから」
私がそう言うと、シェルフィアは私の胸に強く顔を押し付けた。
「ルナさん、大好き。誰よりも、何よりも」
「私もシェルフィアが大好きだよ」
その言葉を聞いて満足したのか、彼女は私の胸を離れテラスをゆっくりと歩き出した。掌を上に向け、雪を集めている。
「新しい約束を作ればいいわ」
「えっ」
「私達が現世で逢えるのはこれで最後になるけど、私とリルフィが死んだ時には魂界で逢える。形は変わっても、心は決して離れない。そうでしょ?」
何て強いんだ。さっきまで私の言葉に絶望していたのに、もう新しい希望を創ろうとしている。その健気さと、心強さで今度は私の涙が溢れ出した。
「……あぁ、そうだな」
私の言葉に、シェルフィアは笑顔で頷く。
「永遠の心は変わらない。現世で逢えないのは寂しいけど、魂界でちゃんと私とリルフィを見付けてね。出来れば、魂界にいる間だけでも家族でいたい。そんな風に魂界を創れる?」
考えてもみなかった。確かに魂界の魂体では、擬似的ではあれ肉体的な感覚があった。ならば、魂界で家族でいる事は可能だろう。否、不可能でも可能にしてみせる。
「必ずそういう風に創るよ」
「良かった、約束よ」
シェルフィアがそう言って私の手を握る。フィーネの時から変わらない、お願いの仕草。私もその手を握り返して頷いた。
「例え命を失っても、星が無くなったとしても心はずっと一緒に在り続けようね。現世で触れ合えなくても、言葉を交わせなくても貴方の存在は私の中で永遠だから」
「シェル……フィア」
本当に、彼女を愛せて良かった!
私は彼女を抱き締め、彼女の肩の上に顔を埋めて赤子のように泣いた。
「ルナさんは本当に良く頑張ってる。あんまり甘えてくれないけど、私にはもっと甘えていいのよ」
感情が涙と共に瀑布のように流れ落ちる。
本当は怖いんだ。シェ・ファと戦う事も、新しく魂界を創って独りになる事も。私にしか出来ないと解っていても、心の澱を掻き混ぜれば恐怖で一杯になる!
何かに縋りたかった。私の心は脆く、完全じゃないから。
でも、シェルフィアが私の心を強くしてくれる。シェルフィアだけじゃない、リルフィもだ。
シェ・ファに負ければ全てが消える。最愛の人も、あらゆる生命も。だが、私が勝てば最愛の人は生き、生命は循環し続ける。そして、私達は魂界で再会する事が出来るんだ。それ以上、何を望む?
「シェルフィア、ありがとう。愛してるよ、永遠に」
「私もルナさんを愛してる、永遠に」
私は彼女を抱き締めて持ち上げた。大丈夫だ、私達の想いはどんなものにも決して負けない。
「ルナさん、今日は」
顔を赤らめるシェルフィア。言いたい事は解ってる。
「二人だけで眠ろう」
手を繋ぎ、帰路をしっかり踏みしめて歩く。
帰る場所が変わっても、私達は必ず家族で集まるのだ。
Even if the eternal promise changes, The Heart of Eternity doesn’t change.
If there is time which can meet you for a moment of the 100 years also, I’ll think that I’m fortunate.
Believing The Heart of Eternity which you gave, I’m waiting forever at Luna.
I love you from the bottom of my heart.
I appreciate loving you.
But I did not know your real intention at this time……