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 言う通りだ……。彼女の言葉で私は迷いを捨てた。戦おう。

「キュア、本気で行かせて貰うわ」

 私は内に秘めたる力を解放した。私は、転生する時に多くの力に助けられた。人間の力、天使の力、魔の力……そして、神と獄王の力!それらの力の一部は、私の中に宿っているのだ。

「究極神術『光膜』!そして、究極魔術『暗幕』!」

 光の膜が私を包み、闇のカーテンがその周囲を覆った。

「それでいいわ。お前が、神術も魔術も使いこなすのは知っている。でも関係無い!それ以上の力を剣に乗せて、攻撃するだけよ!」

 彼女が高速で私に向かう!目で追うのがやっとの斬撃!

「キキキキィーンッ!」

 剣で防ぐが、一撃一撃が重い!このままでは押し負ける!

「ヒュッ!」

 咄嗟に私はバック転を繰り返して剣を避けた!その瞬間、彼女に隙が出来る!

「えいっ!」

 私は渾身の力を込めて、足払いを炸裂させる!するとキュアは転倒した!

「くっ!」

「終わりよ!」

 私は転倒しているキュアに剣を振り下ろす!

「ザクッ!ザクッ!」

 地面が抉れる!

 彼女は転がりながら巧みにそれを避けたのだ。

「フィアレス様の為にも負ける訳にはいかないっ!」

「ブシュッ!」

 彼女は私の剣を捌き、一閃が私の腕を掠めた!傷は浅いが、光と闇の防御膜が無ければ腕を切り落とされていただろう。

「ルナさんとリルフィ、そして皆の為に私も負けない!」

 私は剣と共に、禁断神術『滅』を連続で発動させる。

「シュウゥゥ!」

「ザシュッ!」

 私の攻撃がキュアに届く!だが、彼女はそれを気にも留めず立ち上がった!

「お前の剣は大した事無いけど、強力な神術が厄介ね」

 ならばどうする気だ?私は彼女の次の手を考えた。

「神術を使わせる隙を与えない!」

 私が思い付くのと同時に彼女はそう叫んだ!彼女の動きが加速する!

「キキキィーンッ!」

「ザクッ!」

 私の攻撃は殆ど当たらず、彼女の攻撃ばかりが私の体を捉える。このままでは!?

「(ママ!今から2秒後に出来るだけ敵から離れて!)」

「(ん?解った!)」

 リルフィの言う通り、私はキュアの剣に一撃を放った後唐突に離れた。

「逃げるつもり?え!?」

 彼女が力の気配に気付いて振り向いた時にはもう遅い!

「カッ!」

 リルフィの指から、神のみが使える『光(sunlight)』が発せられていたのだ!その威力は、ルナさんには遠く及ばないが私の術よりも遥かに強力だ。幼くしてこの力……。一体リルフィは何処まで成長するのだろう?

「キャァァ!」

 その場にキュアは倒れた。鋭い光が彼女を貫通した筈だ……

「あなたの負けよ。負けを認めてくれたら、傷を回復!?」

 私が其処まで言った時だった。

「フフフ……やっぱりね。娘の攻撃が来ると思ったわ」

 彼女は立ち上がる。無傷だ!

「フィアレス様に言われていたから。娘に注意しろって」

 そうか、予め攻撃が来る事を想定していれば避ける事は出来る。

「でも、凄い攻撃ね……。剣が粉々よ」

 彼女は唯の鉄粉と化した剣を指差す。そして、不気味な笑みを浮かべた。私とリルフィの力を併せれば、決して彼女の力に負けはしない。なのに何故余裕の笑みを浮かべる事が出来る?

 

「第二部といきましょうか」

 

 その言葉の直後、彼女は翼を開き空へと飛び立った。遠くから彼女の声が谺する!

「雲の上からの攻撃、目に見えない闇の攻撃を受けてみるがいいわ!」

 しまった!今は夜……。しかも雲の上に隠れられれば視認は不可能だ。どうする!?

「ママー!危ない!」

 一体何が起きた!?

「ゴゴゴゴ!」

 リルフィと私を含む半径数百mが闇の螺旋に飲み込まれている!?これは、禁断魔術『死闇』!

「ママ!助けてっ!このままじゃ螺旋に食べられちゃうわ!」

「リルフィ!心配要らない、今助けるわ!」

 仕方無い。今迄試した事は無いけど、厳重に制御されている内なる力を全て解放しよう!

 

「シュゥゥ!」

 

 体が炎のように熱い!皮膚が発熱で赤く変色してゆく!1分……否、30秒以上は持たない!

「禁断神術『滅』!」

 普段私が使用可能な『滅』の数十倍も巨大な『滅』が発動した!死の螺旋は音も無く消えて行く。

「リルフィ、パパには内緒よ」

 私はそう言って、螺旋の消えた聖域に立つリルフィの頭を撫でた。彼女は言葉の意味が解らずに首を傾げる。

 

 だって内緒じゃないと困る。私が『空を飛べる』事をルナさんに知られたら、甘えられないから。

 

 神術で編んだ翼。ルナさんの『光の翼』程じゃないけど、輝いている。

 私は『転送』で雲の上まで移動し、『翼』でキュアにそっと近付いた。

 

「加減は出来無いからごめんね」

 

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