僕は、キュアに答えながらも焦点が定まっていなかった。長年の付き合いのキュアがそんな嘘に騙される筈も無い。
「フィアレス様、本当の事を言って……。隠し事をされるのは悲しいわ。貴方一人で背負う必要は無い、私がいるから」
彼女は僕の頭をそっと撫でた。少し安心して、僕はゆっくり話した。
「夢を見たんだ。恐ろしい夢を。最初に冷たい声がした。感情の籠らない、唯冷たい声が。そして言った。
『……生きる事に意味など無いでしょう。何も感じる必要はありません』
その後、僕は死んだ。僕だけじゃない!その場に居た者全てだ!
キュアも、魔も……ルナリートも、人間も!」
「……考え過ぎよ。私は此処にいるから。貴方は未来の為に気負い過ぎてる」
彼女はそう言って僕を抱き寄せた。すると、段々気分が和らいでいく……。僕が眠りに落ちるまで、彼女は僕の背中を擦り続けてくれた。
「愛してるよ」
僕達はこの夜、何度も何度も耳元で囁き合った。そして、生きている幸せを噛み締めた。
この瞬間の積み重ねを永遠だと信じて。
この時は、誰も知らなかった。深淵なる時の闇で激しく蠢く『存在』を……
その『存在』が今、扉を開こうとしている事を……
ルナリート……抗えぬ運命を創りだしたのは僕達だ。
だから、その運命を変えるのも僕達の役目。
死してもなお、消えない愛……信じてるよ。
永遠に君を守る為に……
『Luna』……
其処で心は悠久の時を超え、永遠を歌う。