そして、星を激しく揺さぶる程のエネルギーを集約してフィアレスが叫んだ!
「平和呆けで弱体化していると思っていたのに上出来だよ!でも、これで終わりだ!」
突如辺りが一寸の光も通さぬ闇になったかと思うと、その闇が奴の剣に吸収されていく!
「完全なる闇剣か!」
終わりの魔術『闇海』のエネルギーを剣に注ぎ込み、それを一閃にして放つ究極の剣技だ。これに対抗するには、神剣に『光』を込めて放つしかないが今はそれが出来ない。だからと言って、オリハルコンの剣に『光』を込めればその瞬間に粉々に砕け散るだろう。ならば!
「始まりの神術『光』で剣を保護し、その保護膜上に『光』を込める!」
勝負は一閃で決まる。俺達は互いに間合いを取り、剣に意識を集中させた!
「キイィィ!」
「シュウゥゥ!」
神であるエファロード、獄王であるエファサタン……二つの生命が意思を持ち始めた時から続いてきた戦い。幾度と無く衝突し、何度世代が交替しても変わる事の無い思い。己を真とし、相対する者を偽とする証明の為に争ってきた。今まで小競り合いは幾度もあったが、力を解き放たれた状態で相手を全力で滅する為に戦うのは星が三界に分かれた20億年前以来だ。今こそ、長き戦いに終止符を打つ!
「光剣!」
「闇剣!」
「ピカッ!」
音速を超えた光速の一閃が交叉する!
「ドゴォォー……ン!」
光と闇の一閃が交叉する波動で、結界が張られた聖域を除く、半径数キロに渡る全ての物質が消し飛んだ!否、視界から全てが消えたと言っていいだろう。
「(一体どうなった!?)」
自分に何が起きたか理解するより前に、先に意識が脳を駆け巡る。
「ブシュゥゥ!」
そうか……闇剣が滅鎧を貫通して、腹部に到達したのか……内臓にも損傷がありそうだ。血が止まらない。
「パキンッ!」
俺の視界が歪んで行く中……フィアレスの鎧が砕けるのが見えた。
「ははっ!鎧は砕かれたけど、僕の勝ちみたいだね!?」
勝利に歓喜するフィアレス、だが……
「ブシャァァ!」
先刻の一閃で、かつて兄さんから受けた胸の傷にクロスするように新たな傷がつき、そこから勢い良く鮮血が噴き出ていた。
「……僕も無傷ではいられなかったって事か」
深手を負った俺達は、共に聖域へと落ちて行く……
だが、起き上がり先に剣を取った方が『真』となるのは間違いないだろう。