【第三節 衝突する光と闇】
聖域の中で立ち竦む私達に、フィアレスは語った。兄さんとの戦いで、殆ど動く事も出来なかった事。先代獄王の死……そして力と記憶の継承。私を倒し、この世界を奪うという結論!
「これ以上、話す必要は無いよね」
フィアレスは一筋の光すらも反射しない魔剣を私に向けた。
「あぁ。私達が今すべき事は」
己を真とする為に戦う事だ!
「ガキィィー……ン!」
その瞬間、剣と剣が眩い火花を散らした!
「(お前が、もし兄さんに致命傷を負わせていなければ……兄さんは死ななかったかもしれない!獄界への道を封鎖するエネルギーを消耗しても……生きていたかもしれない!)」
「(そうかもしれないね。でも、少なくともハルメス・ジ・エファロードはこうなる事を解っていた。命懸けの戦いにおいて、『もし』という言葉は存在しない!在るのは、強い力と意思を持つ者のみが生き残るという結果だけだ。僕も胸を貫かれて死の淵を彷徨い、獄王を継承するまでは、指先一つ動かすのが死の苦しみに等しかった。)」