闇海を乗せた剣の波動は、土も岩も空気も飲み込み、人間界の地上への障壁を洗い流していく!そして!
「カッ!」
眩しい!今まで生きてきた中で、見た事の無い強い光が、地上に開いた穴から差し込んだ。そうだ、これがS.U.Nの光なんだ。獄王としての記憶にあるS.U.Nを僕は思い出した。フィアレスとして見るのは初めてだったのに、懐かしさで胸が詰まる。僕は光が射す方へ全速力で飛んだ!
「ここは」
古びた街……いや、天界の遺構に間違いない。壁も床も大理石。そして所々、神術で動いていたであろう照明機器が見受けられたからだ。ルナリートはこの場所に天界を融合させた。それは、かつてこの場所には獄界への道があり、それを完璧に塞ぐ為だったのだろう。
僕は、S.U.Nの光を浴びて爽やかな風を受けながら歩き、そう考えていた。
「何て居心地の良い世界なんだ」
視界は光に満ち、微風が髪を撫でる。細波が木霊し、鳥が歌う。その風景に暫く身を委ねそうになったが、そんな場合じゃない!
「この美しい世界を魔の楽園にする為に、ルナリートを倒す!」
自分に強く言い聞かせる為に、剣を握り締めてそう叫んだ。
その後、僕はまず『人間』を全て眠らせる事にし、広範囲に眠りを齎す獄界の植物を召喚した。ルナリートは人間の為に力を発揮する。かつて獄界に来た時は、フィーネというたった一人の人間の為に魔を薙ぎ倒し、僕を倒し、そして父の影さえも破った程だ……だから、人間は死なせないように眠らせるのが戦いの邪魔にもならず都合が良いと考えたのだ。
この時はまだ知らなかった。
自分の選択した道が招く未来を。呼び寄せる『存在』を……
その『存在』は、『歴史の闇』に葬られ記憶にも封印がされてきた。
ルナリート、そして僕は今までのエファロード、エファサタンとは全く違う選択をした。
自分の信じる未来の為に生きるという選択を……先代まで脈々と継がれてきた生き方を放棄する選択を……
その代償が『存在』だったのだ。人にも魔にも、生物にさえも属さない『存在』……
僕は理解した。ルナリート達が信じるThe Heart of Eternityを。僕も信じよう……僕を愛して待つ者の為に。
『Luna』……星が終焉に向かう中で
僕達は自分が生きる意味を理解して
戦わなければならないんだ。