魂を生み出し、転生……獄王としての記憶を継承した今、初めて理解した事だが『魂』は『魂界』から生まれる。そして、死者の魂も『魂界』に行き、新たなる魂として転生するのだ。
神と獄王は、魂を扱う事は出来ても無から創り出す事はできない。神と、獄王はその橋渡しが出来るだけなのだ!父がさっき言った、再び出会える日が必ず来るという事は……魂界で再会できるという事。魂界で再会出来なくても、新たなる魂として会う事が出来るという事なのだ。
僕がもし、魂を魂界から生み出し(橋渡しを行い)転生させる事をやめれば、従来の生命サイクルを狂わせる事になりかねない。ルナリートは天界と共に、魂を扱う事を放棄した。神や獄王の手を加えない、本来あるべき姿へ退行させたのだろう。『魂は魂界に委ねられ、何者も干渉しない』という過去の姿へ。
深獄……神、獄王の力を以ってしても、滅する事の出来ない強大な悪魂を封印する場所。悪魂……何だかその言葉に僕は引っかかったが、深獄の封印を解けば、神や獄王すらも脅かす者が現れるのは確かだ。だから、獄王はずっと深獄の扉を閉ざしてきた。
僕が自由を求めれば……その代償は計り知れない!僕は動転した!もっと父に進むべき道を示して欲しい!
「お父さん!僕は一体どうすれば!?」
僕は今にも消えてしまいそうな父に呼びかける!
「……自分の責務を果たした我が望む事は……お前の幸せだけだ。だから……自由に」
ゆっくり微笑んだと思ったその瞬間……父は黒銀の砂へと姿を変え……僕の腕の中に消えていった。
「お父さぁぁー……ん!」
僕の叫びは虚しく……誰もいない空間に響き続けた。
主を失った十字架、暗黒の海、仄かに光る星々……そして、僕。
皆が偉大なる父の死を悼んでいた。
数時間、いや数日が経っただろうか?僕の目から涙が止まったのを認識したのは……
時は悲しみを風化させる。それはエファロード、エファサタンでも同じだ。記憶は消えなくとも、悲しみを風化させる事が出来るのは、前を向いて生きる為に進化した結果なのだろう。
僕が今出来る事は……自分が後悔しない道を考え……それを実行する事だ。
僕はそれに気付いてから一人、永劫とも思える時間の中……考えを巡らせる事となる。
〜半年後〜
経過したのは半年。それを知ったのは、僕が断罪の間から出た後キュアに知らされたからだ。思えば、僕はこの10年に近い歳月を『思考』する事で生きてきた。僕は……
「決めたよ、キュア。僕の歩むべき道をね」