世界までもが!セルファスも慌てふためいている!そんな……天使だった者まで!?
「これは今までに無い深刻な事態だ!だが……私達は何とも無い。現状を整理すると……私達のように強い力を持つ者以外は夢に落ちているという事!?」
そこで、シェルフィアが言った。
「ジュディアさん、これは神術の類ではない。そうよね?」
その声に、かつて天界で神術を司り極めたジュディアが即答する。
「ええ、間違いない。神術なら見ればすぐわかるわ。何より、世界が眠るような強力な力はルナやシェルフィアしか使えないでしょう?だから神術の仕業では無いわ。そして、魔術でも無い。この眠りは、術ではなく物理的な眠りよ!人も天使も皆眠る。その生理的な本能に対して何かが強力に働きかけているという事」
彼女にも見当が付かないようだ……一体どうすれば!?そうだ!
「私が、世界に対して眠りから醒めるよう強い力を送れば何とかなるんじゃ!?」
私がそう言うと……
「それはダメ!」
シェルフィアとジュディアの声が重なった!何故だ?シェルフィアがジュディアの顔を見てジュディアは頷く。どうやら、二人の見解は同じなようだ。
「今眠っている人々は、普通に眠っているのと変わらない。それを、強い神術で起こせば精神崩壊するかもしれない!だから、原因を究明して止めなければいけないわ!」
ジュディアがそう言うと、シェルフィアは再び強く頷いた。そして……
「(ルナリート君、皆さん聞こえますか!?)」
ノレッジの声だった!声のみを転送してきているようだが……
「(ああ、聞こえる!リウォルはどうなってる!?)」
私は、この場にいる全員とノレッジに向けて意識を転送した。すぐさま、彼から返事が返る!
「(その質問をするという事は、この街だけじゃないんですね。皆眠っています!僕の傍にいたレンダーも!僕もそちらに行こうと思いましたが……彼女とこの街が心配で!)」
「(それは仕方無いさ、大事な人の傍にいてやるんだ!だが……私達の知る限り、原因を解明しなければどうしようも無さそうだ……ノレッジ、何かいい考えはないか?)」
私達は祈るような気持ちで彼の返答を待った。彼ならば、良い考えが浮かぶかもしれないと思ったからだ。暫く沈黙の時間が流れ……
「(……僕も良い方法は解りません。でも、知識の街リナンにある本の中には参考になる情報が集約されているかもしれませんよ!)」
成程……そうか、あの街にはかつての天界の知識と人間界の知識が集っている。行く価値はありそうだな!
「パパ、行きましょ!」