何と、ノレッジとジュディアだった!二人は私と同じく、天使学校の特待生宿舎に住んでいる。しかし……何故?
「……私は何も話していないのに?」
私は思った事をそのまま口に出した。
「ルナ、あなたの表情を見れば誰だってわかるわよ。何処に行くのかわからないのが心配だけど、気をつけて行ってね!」
「ルナリート君、無事を祈ってます」
私はこの時、友人という存在の有り難さをヒシヒシと感じた……
「あぁ、行ってくる!」
私は駆け出した。特待生は、神殿の3階に住んでいる。一気に階段を駆け下り、神殿を出ようとしたその時……
「ルナ!頑張れよ!」
セルファスまで私を待っていた。私は彼に手を振って『光の山』を目指したのだった。
午後10時までは飛行を続け、現在は歩いている。一体どれだけ歩いただろうか?時刻は深夜12時になろうとしていた。ここは『光の山』の山頂へと向かう道。月と星の明かりだけで、私は険しい山道の歩を進める。一部には木々が生えているが、ほとんどは進みにくい岩場が続く。翌日の授業開始まで残り9時間、私は焦っていた。
「まだ山頂が見えない。一体何処まで続くんだ?」
私は情けない独り言を呟いた。空を飛べば早いだろうが、夜10時以降の外出許可はあっても飛行許可はない。その点を神官に指摘されると後々で厄介な事になる。そういった理由で私は空を飛ばずに、唯ひたすら早足で歩いた。
午前1時。天界では考えられない程の冷え込みを見せる山頂に到着した。地上から数千mぐらいは離れているだろう。周りには何も無く、私は遠くを見ていた。その時だった!
「ゴォォ!」
目の前を真っ赤な炎が包む!私は咄嗟に避けながら地面を転がった!
「誰だ!」
私は体を起こしながらオリハルコンの剣を抜く!
「今の攻撃を避けるとは、並の天使ではないようだな」
声のする方……私は空を見上げた!すると……全身が真っ白に光り輝く鳥のような姿をした者がいた。私は直感する!
「白い聖獣!」
私がそう叫ぶと、その者は地面に降りてきた。
「その通りだ、天使の少年よ。この場所に何の用だ?」
白い聖獣は私を睨みつけた。その眼光からは何者も逃れられないだろう。私は思わず身震いする。そして、圧倒的力を物語る威圧感が私の体を押さえつけていた。嘘と不誠実が通じる相手ではない事が私にはわかった。
「私は、生まれたばかりの天翼獣を救う為の代償として、神官から『虹の輝水晶』を取ってくるように命じられました!『虹の輝水晶』は貴方が持つものだと聞いています!それを私に」