§番外編§
【リバレスとの出会い】
「シェルフィア」
私は少し遠い目をしながら、誰よりも愛すべき女性に呼びかけた。
「ルナさん、どうしたの?」
私達は今寝室にいる。夕刻の時間、窓から見える景色は茜色に染まっている。200年前とは比べ物にならない程発展した街、空と雲……そして人々も穏やかな夕闇に包まれていた。そんな風景を私と共に眺めていたシェルフィアは、視線を私に移した。ここは、フィグリル城。神である父との戦いが終わった数ヵ月後の事だ。
「……リバレスの事を思い出したんだ」
私は、シェルフィアの顔を優しい目で見つめた。
「リバレスさん、今、私達がここにいられるのも皇帝とリバレスさんのお陰。……そう言えば、私はリバレスさんの事あんまり知らないわ。教えて欲しいな」
シェルフィアは、私の手を握った。フィーネだった時から、何かお願いをする時は手を握る。昔から変わらないその仕草に、私は愛おしさを感じる。しかし……今こうして彼女と共に生きていられるのは掛け替えの無いものを失ったからだ。私は少しずつ……今にも笑い声が聞こえてきそうなリバレスの事を思い出していった。
〜今から424年前〜
ここは天界、私は現在1602歳だ。ハルメスさんがいなくなってしまった後、私は1000歳の誕生日に天使学校に入学した。今は午前8時、いつも通りジュディアが迎えに来る時間だ。