計画は、シェドロットの最後の責務で……中界侵略を水に流す程重大なもの……
「一体『計画』とは何を指すのですか?それが、俺とフィーネに何らかの影響を及ぼすとでも!?」
俺はなかなか本音を打ち明けないフェアロットに叫んだ。
「我は……約束どおりフィーネという人間の魂を解放する。だが……お前が『永遠の心』……いや、愛を命題に持ち続けるならば近い未来お前は……シェドロットに会わなければならない」
フェアロットは魂を解放してくれる!俺はこの瞬間……心に喜びが満ち溢れてくるのを感じた!
しかし……彼の言葉の意味は深かった。
「俺とフィーネが愛し合うならば……俺は神に会わなければならない。そういう事ですか?」
俺は喜びを抑えながらも、言葉の意味を理解しようとした。
「そうだ……それだけは忘れるな。……その力と心で真理を貫くのだ。例えその道が、シェドロットと相反する物であったとしても!」
正直に言うと……獄王の言う事は深すぎて完全には理解出来ない。だが、悪意は感じられない。
神と獄王は……憎しみあい……戦うだけじゃない。何処か根底で繋がっている気がした。
「わかりました。俺は、自分の信じる道を進みます!だから……フィーネをお願いします!」
俺は、そう返答し……愛するフィーネの魂を解放してくれるように頼んだ。
「魂を扱うエファロードなら知っているとは思うが……転生すれば、高い確率で記憶も心も消える。お前が……『永遠の心』を信じていても、転生した女はお前を覚えていないだろう。それでもいいのだな?」
フェアロットは、俺にそう勧告した。それはわかっていた事だが……俺は、フィーネとの約束を信じる。
「はい、俺……いや、『私』はフィーネと約束した心と想いを信じます」
私の髪は真紅に戻り……翼は消え、目もコバルトブルーに戻った。フィーネの魂を助ける事が出来た。安心したんだ。
「よかろう。たった今、魂は解放された!200年後に、新たな人間として転生する事になるだろう」
薄桃色のフィーネの魂は、光に包まれて空の彼方へ飛んでいった。向かう先は人間界。
「ありがとうございました!」
私とリバレスは、フェアロットに深く礼を言った。獄界から、人間界へは『転送』の神術で戻る。私の力はもう制御されていない。