怒りと悲しみと憎しみが込められた火球が俺を襲う!それが目の前に迫った時、俺は我に帰った!
「くっ!」
俺が体を保護で守ると同時に、並の天使なら跡形もなく消滅しそうな炎が胸に直撃した!
「ドォォーン!」
俺は壁に激突する!『力』で守られているはずの壁に、まるで隕石が落ちたかのような跡が出来た!
「ドシャッ」
俺は、床に倒れこんだ。致命傷では無いが、体の後ろがズキズキ痛む。後頭部も強打してしまったので、立ち上がれない。
「お前は、私の最愛の魔を殺した!でも、私はお前が獄界に来た理由は知っている。お前の恋人の魂を救うためなんでしょう?お前にそんな心があるなら、なぜイレイザーを殺した!?」
俺が殺したイレイザーの恋人?いや、妻だろうか……ソフィと名乗る魔が俺の頭を踏みつけながら叫ぶ……しかし、何故フィーネの事を知っている!?フィーネの事を考えると力が沸いてきた!
「俺にも話をさせてくれ!」
俺は、ソフィの足を持ち上げ弾き飛ばした。そして、俺はゆっくりと立ち上がった。
「フィーネは……人間として生まれながら、魂を獄界に堕とされた。もしフィーネが人間界で死んだだけだったら、俺はこんな所までは来なかった。人間界で魂を探し出して転生を待てばいいからな」
俺が、話し終わる前にソフィは叫ぶ!
「黙れ!お前の話など聞きたくは無い!お前は、イレイザーの仇なんだ!」
女はありったけの力を込めて、俺を炎で包んだ!高さ10mある天井も焦がしそうな火柱だ!
「お前の愛する者を殺したのは、申し訳ないと思ってる」
いつの間にか背中に現れた、光の翼で俺は炎を完全に打ち消した。そして、力の尽きた女に俺は歩み寄った。
「殺せぇぇ!私も、イレイザーの下へ送ってくれぇぇぇ!」
彼女は、死を覚悟したのだろう。戦いの中では、力の無い者は死に行く運命だ……
「すまなかった。お前が、イレイザーを愛し続けるんなら魂を見つけてやってくれ……お前に、死ぬ程の覚悟があるんなら出来るだろう?俺は先へ進むから、もう邪魔しないでくれ」
俺は、ソフィに背を向けて階段へと歩いていった。
「(放っておいていいのー?)」