「ごめんごめん、フィーネもリバレスも心配かけて悪かったよ。私も正直、自分の体がここまで弱いとは思ってなかったんだ」
私は、フィーネの背中を優しく擦り、リバレスの頭も撫でた。
「ところで、私が倒れてからこの街にはいつ到着したんだ?」
私は、リバレスに尋ねる。
「ルナが倒れてから次の日には街に着いたのー!ほとんど眠らずに三日間フィーネは付きっきりで看病してたのよー!」
そうか。それなら皆無事で良かったと、私は胸を撫で下ろした。それにしても……
「フィーネ、ありがとう。お陰で助かったよ」
私は、穏やかな口調でそう言った。
「そんな!感謝してるのは、私の方ですよ!ルナさんのお陰で、私は元気にここにいるんですから!」
フィーネは怒ったようにそう言った。まるで、自分は感謝されるような事はしていないと言うように。
「まぁ、お互い感謝してるって事でいいじゃないか。……それより、私は空腹なんだよな」
私は目で訴えかけた。この八日間、ろくに何も食べていない。
「は、はい!今すぐおいしい物を作ります!」
と、フィーネは慌てた様子で、私の体を離れた。その顔は林檎のように真っ赤だ。抱き付いていた事が急に恥ずかしくなったのか?
「ルナも照れちゃってー!顔が赤いわよー!」
そこに、リバレスが厳しい言葉を挟んだ。フィーネの温もりが残っているのを感じると余計に恥ずかしかった。
30分ぐらいが過ぎた。そこに、フィーネが食べきれないぐらいの料理を持ってきた。その料理は、ベッドの前のテーブルに次々と並べられる。窓のカーテンから差し込む光で、料理がより色鮮やかに映える。また、部屋には沢山の花が飾られてあった。私を心配して、フィーネが持ってきてくれた物だろうか?
「はい、どうぞ食べて下さい!」
フィーネは、にこやかにそう言った。その表情はいつになく嬉しそうだ。栗色の長く美しい髪と、純粋で優しい瞳がこちらを見ている。
「頂きます」
私は、フィーネ手作りのおいしい料理を食べ始めた。限界を超えて空腹だった為、言葉を発する暇も無く食べ続けた。パンもスープも、卵料理も肉料理も瞬く間に、私の胃の中に吸い込まれていった。そして、いつもの三倍ぐらいの料理を15分もしない内に食べつくしてしまった。
「ごちそう様!美味しかったよ、生き返った気分だ」
私は満足の笑みを浮かべて、フィーネに礼を言った。本当に、体の底から力が溢れてくるようだ。