「お帰りなさい!」
パッと花が咲いたような笑顔のフィーネに私は迎えられた。
「ただいま」
私も、軽く微笑んだ。
「(ルナ、最近表情が柔らかくなったわねー?どうしたのー?)」
とリバレスのからかう声が頭に響いた。
「(うるさいな!私が笑うのがそんなに気に入らないのか!?)」
と、私もテレパシーで返してテーブルの上に座っていたリバレスの頭を指で小突いた。
「痛いー!フィーネー、ルナがいじめるのー!」
と、リバレスは大袈裟に叫んだ!
「あらあら、ルナさん。リバレスさんをいじめたらダメですよ」
と、フィーネが困った顔をしたので……
「リバレス!そろそろ冗談はやめよう」
と、私はリバレスの目を凝視した。
「はーい!もうちょっと遊びたかったけどねー」
と、残念そうに私の肩の上に飛んできた。
「冗談だったんですか!?てっきり喧嘩をしたのかと!」
と、フィーネは本当に驚いた顔をした。
「見ればわかるだろ?フィーネ、君は騙されやすいから気をつけるんだぞ」
人を疑う事を知らないフィーネは、純粋だが少し危うい所もあるので私は注意した。
「よく言われます。でも、私は人を騙したりするのが大嫌いです。だから、私は人に嘘をついたり出来ないんですよ。だから、誰かの嘘も見抜けないんですよね」
と、ガックリと肩を落とした。
「いや、それがフィーネのいい所なんだ。それで、私達も救われてる」
もし、フィーネがフィーネじゃなければ恐らく私は人間に力を貸そうとは思わなかったに違いない。
何より私は、フィーネとリバレスと過ごす今の日常が天界の頃より好きだ……
「そんな事ないですよ!助けられてばっかりなのは私の方です!」
と、顔を真っ赤にして首を振った。
「もー……早くご飯にして、出発しましょー!」
リバレスが、私達の様子を見て『キリが無いわねー』と思ったのか、横槍を入れた。
「は、はい!そうですね!」
そうして、しばらくするとフィーネが作った料理が出てきた。バターシュガートーストとスープだった。
「このトーストは……辛いものなのか?」
私は、バターシュガートーストとやらを口にして思わずそう言ってしまった。名前のイメージとはかけ離れて辛い。
「え!?普通は甘いですよ!」
と、フィーネはびっくりして私のトーストの一つを取って食べた。
「あ!ごめんなさい!砂糖と塩を間違えました。やっちゃいましたね!」