そう言った彼女は少し身震いをしていた。人間には、この気温は寒いのだろう。
「寒いんだろ?暖炉の近くで暖まった方がいいぞ」
私はそう言って暖炉に薪をくべた。火が勢いよく燃える。
「ありがとうございます!ルナさんや、リバレスさんも水浴びどうですか?」
水浴びか……基本的に私やリバレスみたいな天界の住人は、普段から薄い『保護』のエネルギーで体が覆われているので水浴びなどで体の汚れを落とす必要はないんだが。何事も経験か。
「わかった。行くよ」
「わたしもー!」
こうして、私とリバレスは浴室へと向かっていった。しかし、着いて見ると男性用と女性用で別れていた。
「どうやら、人間界での水浴びというのは男女別のようだな」
天界で水浴びをする時は、服を着たまま水浴びする。その後、体の周りを熱空間で包み込み一気に乾かすのだ。水浴びは、天界で一年に一回行われる行事だ。私はあまり好きではないが、リバレスは大好きなようだ。
「じゃー、わたしは女用に行くわねー!」
そう言った瞬間、リバレスは人間の女性ぐらいの大きさに変化した。姿は普通の女天使と同じで、髪は金色だった。
「リバレス!そこまでしなくても!」
私は、他の人間にバレたら、という心配があったので静止しようとしたが無理だった。リバレスの姿はもう見えない。
「仕方ない。私も水浴びするか」
私は服を着たまま浴室に入り、シャワーという物から出てくる水を浴びてすぐに戻った。体全体を『焦熱』の神術で包み込み瞬時に乾燥させた。その後、10分程待ったがリバレスは戻らないので私はフィーネの待つ部屋へと戻ることにした。
「お帰りなさい!サッパリしましたか?」
とフィーネは笑顔で私に問いかけた。
「あ、ああ」
私は、少し引きつった笑顔でそれに答えた。
「朝食の準備、出来てますよ!」
見ると、色とりどりの食卓が出来上がっていた。やはり、料理がうまい。
「ところで、フィーネ。昨日の事は覚えてるか?」
私は、昨日の宴会とその後の事を訊いてみた。
「昨日?いえ、宴会の後の事は全く覚えてないです。ごめんなさい」
フィーネは申し訳無さそうに謝った。別に悪い事はしていないのに。
「謝らなくてもいいよ。ただ、君が私の事を初めは冷たくて無口だと思っていた事がわかっただけだから」
私は少し、素直なフィーネをからかってみたくなった。
「え?え!?私、そんな事言ったんですか!?ごめんなさい!でも、今はそんな風に思ってないですよ!今は、優しくて頼り甲斐がある人だと……って、ごめんなさい!今のも無しでお願いします!」