私は息も絶え絶えにそう呟いた。このままではフィーネが!
「嫌です!ルナさんを置いてなんて行けませんよ!」
フィーネは、私の胸に泣きついた。でも、私は動けないんだよ。
「この女!ルナの心を奪い……毒した!……絶対に許さない!」
ジュディアの目が殺意を持った、氷のような目に変わった!
「ジュ……ディア……殺すなら、私を殺せ!」
私は、必死に声を振り絞った。ジュディアの耳に聞こえるように!
「……そんなにも……あなたの心は毒に侵されたのね。……私は、1000年前からずっとあなただけを愛してきたのに!あなたが望めば、私の美しい顔も体も心もあなたの物になるのに!非の打ち所の無い私をあなたは捨てたのよ!」
ジュディアは、一筋の涙を流した。だが、その目は再び凍てつく氷に変わる!
「……まぁいいわ。あなたを改心させればいいだけの事!あなたに見せてあげる。下等な人間に情を持ち……救おうとする愚行の代償を!……『輝水晶の遺跡』で待っているわ」
ジュディアは、不気味な笑みを浮かべてフィーネを抱えた!
「ルナさん!ルナさんっ!」
フィーネは、手足をバタつかせるが逃れられない!そんなフィーネを無視して、ジュディアは神殿の外壁に穴を開けた!
そこから飛び去る気なのだろう!
「フィーネー!」
私の叫びも虚しく……フィーネは空に消えていった。
何故こんな事に……せっかく幸せを掴んだばかりだったのに……
守ると約束したのに……ずっと一緒に生きて行こうと……
私は、『拘束』が解けるまで……悔しくて……歯痒くて……悲しくて……ずっと下唇を噛んでいた。
絶対に助ける。例え、私の命が失われようとも……何を犠牲にしても構わない。
約束したんだ。二人で幸せになると……ミルドの丘に戻ろうと……
私はフィーネを愛している。初めて、自分よりも大切な人だと思えたんだ。
『私は永遠を信じる!』
〜第二楽章『儚き水晶』〜
一時間ぐらいの時が流れ……ようやく『拘束』が解けて動けるようになった。