そうして、私達は神殿で一番豪華な客室に案内された。ベッドが三つと、本棚。さらに天井にはシャンデリアが吊るされている。部屋に入ると、疲れたような声でリバレスが私に話しかけた。
「もー!ルナ!あの天使とはどういう関係なのよー!?」
話が全くわからなかったのだろう。無理もない。
「あの人は、1000年ぐらい前に私がとてもお世話になった人だよ。私にとっては、兄みたいな……お前が生まれる前の話だから、無理もないな。私が、いつも持っている時計と本……あれをくれた人だよ」
私は、ハルメスさんの事を簡単に説明した。全てを話すには時間が幾らあっても足りない。
「ふぅーん……ルナ、言葉遣いが元に戻ってるわよー!さっきは、『僕』って言ってたくせにー!」
余り興味が無いのか、私の言葉の方をからかうように指摘してきた。
「そうだなぁ……あの人の前では、どうも自分がまだ子供のように思えてくるんだ。あの時は、私は学校にも行ってなかったからな」
私は苦笑を浮かべながらそう答えた。私のこんな所を見せるのは、フィーネは勿論リバレスにも初めてかもしれないな。
「あのぉ……私には何が何だか全くわからないんですけど」
そこで、首を傾げているフィーネが私に問いかけた。確かに、私とハルメスさんの事……そして、1000年前の天界の事は最初から説明しないとわからないと思い、ハルメスさんに宴会に呼ばれる迄の時間に説明する事にした。