一瞬、そんな音が聞こえたと思ったら、私に槍のような物が飛んできた!私は咄嗟にそれを剣で弾く!
「海の中か?」
私は揺れる船上を走り、手摺に捕まって海を見た。すると!
「ギャギャギャァァ!」
船の周りを、異様な魔が異様な金切り声で叫びながら囲んでいる!その数100体以上!その姿は……体色は黒褐色、全身が鱗に覆われている。まるで、魚と人間のような形を融合したような異形の姿だ……
「ギャッギャー!」
私を見つけた魔は、一斉に魔術で作った槍を私の方に投げた!100本の槍が私に向かう!避けきれない!
「中級神術……『結界』!」
私は、自分の周りだけに密度の高い強力な結界を張った。魔の槍が私に届く前に全て消滅する!
「低級魔が……これでも喰らうがいい!」
私は結界を解き放ち、海に向かって精神を集中した。
「高等神術……『雷光召喚』!」
そう言った瞬間、空中に強力な電場が発生する!
「バリバリバリッ!」
船の周りの海に、荒れ狂う雷が落ちた!海の成分は電解質で、電流をよく通すのを私は知っていた。
「ギャァァアァァ!」
一層高い金切り声の叫びと共に、魔は海の藻屑と化していった。
「ヨクモ……テシタヲォォ!」
魔を全滅させて油断していた私は、手下と同じような姿をした敵の首領に背後を取られているのに気付かなかった!
「くっ!」
魔は、私を羽交い絞めにする!とてつもない力で絞められた私は剣を落とした!今の私の力では動けない!
神術を発動させるのにしても精神力を使い過ぎていた。何という事だ!
「ヒャハハハ!シネェェェェェ!」
魔が、尾を伸ばして槍の様な形状にしているのを、私は後ろ目で見た!万事休すか!
「ヒュッ!」
鋭い槍が私の頬を掠った!必死の思いで体を捩って、何とか直撃は免れたが……次は無い!その瞬間!
「(キィィーン!)」
リウォルの波打ち際で感じたのと同じ殺気を感じた!こんな時に別の敵か!