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2008-10-27 焔火 紅

 ここでは、旧作の幻想小説ハートオブエタニティ 第一部「永遠の心」と、第二部「Luna」についてのあとがきを書かせて頂きます。
 二作を書き終えた感想と言うよりは、二作に対する思い入れがメインとなると思いますが、ご容赦下さい。

 私のプロフィールにも書かれていますが、第一部の構想は1999〜2000年(当時の私はまだ高校3年生!)で、執筆を終えたのがこのサイトが出来る一週間ぐらい前、2004年の3月中旬だったと思います。その時点での第一部は、「!」や「……」が尋常ではない程多く、その点を友人に指摘され、現在サイトにアップされているものはかなり修正されています。当サイトの設立当初にお越し頂いた方の記憶には残っているかも知れません。
 第一部は私の予想よりも遥かに沢山の方から、叱咤激励の言葉を頂きました。それが、現在の私に繋がっています。読者の方には心から感謝してもまだ足りません。
 第一部の内容についてですが、当初はRPGのシナリオだった為に、RPG寄りの表現が多数出て来ます。RPGの世界を文章のみで表すのはとても難しいです。派手なエフェクトや効果音を入れる事も出来ませんから。また、ルナとフィーネの関係も、シナリオの段階ではあれ程進ませる予定ではありませんでした。第一部は小説として書き起こす際に大幅な変更をされたのです。しかし、敵が現れ倒すという流れは変えておらず、そう言う意味では、RPGから脱却しきれていません。また、第一部執筆当時、私は殆ど小説を読んだ事がありませんでした。活字を取り入れるのは漫画かゲームからで、初期の小説が通常の小説執筆形式に則っていないのはその為です。

 第一部をサイトに掲載する時に考えたのは、「唯文字だけが出て来るのは面白く無いな」と言う事です。折角HTMLを使えるんだから、画像や音楽も使おうと思ったのです。その画像を描く為に、私はGIMP(グラフィックソフト)の勉強をしました。第一部の背景は全てGIMPで描かれています。それの延長で、CG集なるものが出来たのは、私のプロフィールに書いてある通りです。音楽はODENが作曲してくれました。彼はこのサイトを作る前から作曲を趣味で行なっていたので、小説に合う曲を作ってくれるようお願いしたのです。彼は私の思う以上のものを作ってくれました。彼の存在が無ければ、このサイトの幻想小説は音の無い寂しいものになっていたでしょう。私には作曲センスがありませんので……
 最近第一部を読み返した所、「熱意はあるけど、技術が熱意に追いついていない」と感じました。伝えたい事は分かるのですが、もっと的確な表現があるのにとか、此処はもっとしっかり書けよとか、此処はくどいから削れよとか……。文体も不安定ですが、私としては良き思い出なので直さずに置いておきます。書き直した第一部は「永遠の心 〜The Heart of Eternity〜」として連載中ですので、皆様是非そちらの方もご覧下さい。
 第一部で伝えたかった事は、「直向きな愛とそれを支える愛」です。ルナとフィーネの愛に感情移入される方は直向きな愛に共感される方で、私も以前はそうでした。リバレスとハルメスの愛に共感される方は、支える愛、自己犠牲の愛に共感される方です。こちらの愛はある意味で、直向きな愛よりも強い心が要ります。最近は此方の方も素晴らしいと感じるようになってきました。
 現実世界でも、誰かを想う「直向きな愛」と、誰かを支える「自己犠牲の愛」が必要だと思います。

 第二部に話を移します。第二部は、元々書く予定はありませんでした。しかし、当サイトは「幻想小説」をメインとしているのに、小説の更新が無いのは問題だなと感じ始め、サイトが出来て一年後にプロローグのアップに至ったのです。構想は2004年の12月〜2005年の5月だったと思います。連載を終えたのが、2007年の5月16日。構想から、2年半掛かりました。仕事をしながらで、創作活動は週末のみだったので、どうしてもそれぐらい掛かりました。
 第二部の構想の中で、私は第一部よりも激しく、また胸が締め付けられるような話にしようと考えていました。その結果が皆様のご覧の通りです。客観的に見て、文章力と論理的記述能力は第一部よりも上がっています。しかし、第一部にあった「情熱や激情」が減ってしまったような気もします。
 小説は、書き手の生き方や考え方がそのまま反映されます。文章一つ一つに自らの思いを込めるからです。書き手は、自分の中身を振り絞り、その絞った液で紙に文字を書くような苦しみを味わいます。多分、多くの書き手の方がそうだと思います。その苦しみを経て生まれた作品に愛着が沸き、達成感を得るのは言うまでもありません。
 第二部は第一部よりも短いですが、執筆に要した時間は第一部以上です。それは、一つの文章に掛ける時間が増したからです。
 第一部と第二部は両方私が書いているにも関わらず、書き方が大きく異なるのは、私が大きく変わったからなのでしょう。良い意味で、「落ち着き、大人になった」。悪い意味では、「感情に任せて奔る事を忘れた」。どちらも大切ですが、もう直ぐ27歳になる私が「感情に任せて奔るだけ」と言うのも困ります(笑)
 第二部で伝えたかった事は、「永遠の心と自己犠牲の愛」です。第一部と余りテーマは変わっていません。何しろ、ハートオブエタニティの続編ですから。しかし、「直向きな愛」から「自己犠牲の愛」へと主人公の価値観がシフトしたと言う意味では違います。
 実は第二部を通しで読んだのは、今日が初めてです。一節ずつは書いた後に必ず読むのですが、通しで読む機会はそう多くないのです。今回、あとがきを書く為に第一部から第二部まで通しで読みました。だからこそ、私の小説の書き方、価値観の移り変わりが手に取るように分かります。日記を付けておられる方は、昔の日記を読み返すのは、恥ずかしくないですか? 昔の小説に目を通すのはそれに近い感覚です。きっと、最高の小説が書けたと思っていても、十年後に読み返したら赤面するのでしょうね。

 今の所、第二部の書き直しや、第三部の執筆については考えていません。現在、第一部のリメイクは連載中ですが、その次は私が文学賞応募向けに書いた別の作品を連載予定です。その作品はハートオブエタニティとは無関係ですが、私が今までに書いた作品の中では最高の出来です。連載まで暫くお待ち下さい。

 最後に、長編二作を読んで頂いた方、そして応援して下さった方、本当にありがとうございます! 皆様が居なければ、私は小説を書き続けようとは思わなかったでしょう。出来れば、今後とも私が書く作品を読んで頂けると幸いです。

P.S
第二部連載完了から、あとがきのアップまで一年半近くを要してしまい、申し訳ありません。



あとがき