〜深夜〜 獄界の全てが寝静まった深夜、僕はふと目を覚ました。全身にびっしょり汗を掻いて…… 「ん……どうしたの?凄い汗!?」 僕の腕の中で眠っていたキュアが驚いて声を上げる。 「いや……何でも無いよ。起きたら戦いが始まる、だから緊張していたのかもしれない」 僕は、キュアに答えながらも焦点が定まっていなかった。長年の付き合いのキュアがそんな嘘に騙される筈も無い。 「フィアレス様、本当の事を言って……。隠し事をされるのは悲しいわ。貴方一人で背負う必要は無い、私がいるから」 彼女は僕の頭をそっと撫でた。少し安心して、僕はゆっくり話した。 「夢を見たんだ。恐ろしい夢を。最初に、冷たい声がした。感情の籠らない、唯冷たい声が。そして言った。 『……生きる事に意味など無いでしょう。何も感じる必要はありません』 その後、僕は死んだ。僕だけじゃない!その場に居た者全てだ!キュアも、魔も……ルナリートも、人間も!」 「……考え過ぎよ。私は此処にいるから。貴方は未来の為に気負い過ぎてる」 彼女はそう言って僕を抱き寄せた。すると、段々気分が和らいでいく……。僕が眠りに落ちるまで、彼女は僕の背中を擦り続けてくれた。 「愛してるよ」 僕達はこの夜、何度も何度も耳元で囁き合った。そして、生きている幸せを噛み締めた。 この瞬間の積み重ねを永遠だと信じて。 この時は、誰も知らなかった。深淵なる時の闇で激しく蠢く『存在』を…… その『存在』が今、扉を開こうとしている事を…… ルナリート……抗えぬ運命を創りだしたのは僕達だ。 だから、その運命を変えるのも僕達の役目。 死してもなお、消えない愛……信じてるよ。 永遠に君を守る為に…… 『Luna』…… 其処で心は悠久の時を超え、永遠を歌う。 | |
目次 | 第八節 |