「良かった。ウィッシュ大丈夫!?」 狼が去った後、リルフィはすぐにウィッシュを抱き締めた。 「うん……ぼくはもっと強くなって、今度はリルフィを守るよ」 そう言って、ウィッシュは意識を失った。 「リルフィ!ウィッシュ!」 そこで、リルフィは聞き覚えのある声を聞いた。 「パパ!ママ!ウィッシュのお父さん、お母さん!」 そう、二人の両親が全員集っていたのだ。 「強い神術のエネルギーを感じたから来てみたら……リルフィだったのか!?」 「ウィッシュ、酷い怪我!」 こうして、場は一時騒然としたが、シェルフィアとジュディアがウィッシュの治療を施してようやく落ち着いた。 二人は遅い時間まで出歩いて心配をかけた事については怒られたが、他は咎められなかった。 リルフィの親思いの心、危機に瀕してウィッシュを守った強さ。ウィッシュの、自分を犠牲にしてでもリルフィを守ろうとした強い決意を感じたからだ。 二人の親である4人は心配しながらも、人に優しく健やかに成長している自分の子供が誇らしかった。 しかし、神術を教えていないリルフィが作った結界の跡と、焼け焦げた地面と木々を見てルナリートは思った。 「(妻も娘も……怒らせると大変な事になるな)」 この日見つけたルナ草は、リルフィの部屋で大切に育てられる事になった。 しかも名前がつけられ、「ウィッシュ」と言うらしい。 時は、穏やかに過ぎて行く…… | |
目次 | 第五節 |