【第十三節 永遠への協奏曲】

 

 セルファスを丁重に葬り、街の人々を神術により墓地に運び終えた。その間に、私は世界中の人々に対して避難場所に退避するよう指示を出す。これから始まる、『最後の戦い』の巻き添えにしない為だ。ジュディア、ウィッシュを始め多くの人々は悲しみに打ちひしがれて動けなかったが、リルフィの言葉で、今やるべき事に目を向けるようになった。

 

「今、悲しくてどうしようも無い事は解っています。でも、これ以上悲しみを増やしたらダメなんです。皆、愛する人の為に戦い、愛する人の為に命を落としました。今生きている人の命は、愛する人に守ってもらった命です」

 娘だから当然かもしれないが、まるでフィーネのような口振りだ。

 

 愛する者に守られた命、掛け替えの無い者を守る為、耐え難い悲嘆と恐怖の中でも、人々は懸命に動く。一時間とかからずに、全世界の人々の避難は完了した。

 

 後は、シェ・ファと戦うだけだ。私と、フィアレスの二人で。

 

 フィアレスが獄界から戻り、私を聖域に呼んだ。

 聖域に居るのはたった五人。私とシェルフィア、リルフィ、フィアレスとキュアだ。

 

 終焉へ向かう狂奏……

 止めて見せる。私とフィアレスは互いの目を見て頷いた。

 死してもなお、消えない愛を信じて戦う事。それが、私達二人が此処に存在する意味だ!

 

 

目次 続き