また、半年後に私が使用する剣の開発も依頼した。オリハルコンの剣では、エファロードの力を支える事が出来ない。ノレッジなら、もっと耐久力の高い剣を造り出してくれる。それを見込んでのことだ。
リウォルでも、戦闘トレーニング、防壁及び避難経路の構築が急ピッチで行われている。それは他の街と同じだが、驚いた事に、リウォルでは高射砲と大砲までが街の至る所に設置され始めていた。
「ルナリート君!」
眼下でノレッジが手を振っていたので、私達は街へと降り立った。光の翼を消す暇も与えず、ノレッジは興奮気味に言った。
「剣の強度を増す術を見つけました!」
「本当か!それは有難い」
ノレッジに案内され、私達は研究所の一室に辿り着いた。
「レンダー、説明を頼みます」
「わかりました」
ノレッジと恋人レンダー。仲はとても良さそうだが、人前では敬語で話すようだ。それより、病気だったレンダーが完治し、ノレッジと共に仕事が出来ているというのは素晴らしい事だ。
「皇帝、私達はオリハルコンの剣を一旦超高熱で融解させました。そして、新たなる剣の原型を造り出したのです。これをご覧下さい」
まだ、刃は研がれていないが純粋なオリハルコンで出来た剣だ。だが、柄と刀身の数箇所、一直線上に小さな孔が開いている。
「この孔に秘密を仕掛けるのか?」
私がそう言うと、ノレッジとレンダーは顔を見合わせた。似た者同士だ。その様子に、私とシェルフィアも顔を見合わせて笑った。同様に、ノレッジ達も笑い出す。暫く笑った後、レンダーは再び話し始めた。
「思わず笑ってしまい申し訳ありません!はい、そうです」
「そこに、聖石を埋め込むんですよ!」
二人の目が輝いた。成程……考えたな。
「強力な神術を込めた聖石を埋め込む事により、剣の強度が上がるという事だな」
「その通りです!でも、通常の聖石にはルナリート君の強力な神術を込める事は出来ません。『虹の輝水晶』から造られた聖石でないと……。何処にあるかはわかりませんが」
虹の輝水晶……
人間界で現存するのは、あの場所だけだ。
輝水晶の遺跡、最深部……。フィーネが胸を貫かれ、兄さんが命を捧げた場所。
「存在する場所は知ってる。私一人で行くから、シェルフィアはここで待っていてくれ」
私が真剣な眼差しで三人を見つめると、場の空気が凍て付いた。
「大丈夫、心配しないで。私も行く」
覚悟を湛えた瞳でシェルフィアは言う。こうなったら仕方無い。二人で行くしかないだろう。
「一体何処へ?」
レンダーが申し訳なさそうに訊いた。