この叫び……シェルフィア、リルフィ!
視線の先で、フィアレスの刃がシェルフィアの首筋に突き立てられていた!
「貴様!」
俺は即座に自分を奴の前に転送した!
「ルナさんっ……私は大丈夫!」
首から血を流して苦しそうな顔をしながら、愛する人は俺の目を見つめた。
「この女……サタンのみが使える『闇海』で身を守るとは……。僕の剣を途中で止められたよ」
「黙れ!」
「ガキィィーン!」
俺は抑えられない怒りを込めてフィアレスを弾き飛ばした!
「ママッ!」
すぐにリルフィがシェルフィアに駆け寄る。そして、無意識に『治癒』の神術を使い始めた!
「ママ!わたしが治すからね!」
「うん、ごめんね」
寄りそう母と娘……。俺が世界で一番……自分自身よりも大切な家族。これ以上、傷付ける事は許さない!
「(フィアレス……今こそサタンの終焉の時だ!)」
「(ふんっ……戯言を。歴史から消えるのはロードの末裔ルナリートだ!)」
俺達は空高く舞い上がり、互いに必要な間合いを取った!
俺は愛する者を守る為に。フィアレスは己の信念を貫く為に剣に力を込める!
「キュイイィィ!」
「ゴゴゴゴゴオォォ!」
光を吸収する剣と、闇を吸収する剣……。一振りで目の前の物全てを破壊し尽くす程の力を内包した剣!
「うおぉぉ!」
体の奥底……精神の中枢から力を絞り、剣に注ぎ込む!
「行くぞフィアレス!」
「(キュア……。僕が創る新しい世界を見せる為にも)必ず勝つ!」
「カッ!」
先刻よりも高速で強力な究極の剣撃が放たれる!
「キィィー……ンッ!」
光剣と闇剣は衝突した!その瞬間から目に映る海、空が激しく振動を始める!
先程元の姿に戻ったばかりの海と空は再び消滅を開始したのだ!
「ゴゴゴゴゴ!」
光と闇が、互いを消し去ろうと勢いを強める!
「バチバチッ!」
俺とフィアレスが衝突しているこの空間に流れ込む物質は瞬時に形状を保てずに崩壊していく!
「キキキキィィー!」
俺の剣と奴の剣のエネルギーは同等……。少しでも力負けした方が相手のエネルギーに飲み込まれるだろう!
「グッ!例えこの身が朽ち果てようとも……愛する者を守る為に!」
「グオォォ!僕が創る理想郷で……魔は光を浴びて幸せに暮らすんだ!」