この日も有意義な一日だったと思う。後は、家族3人水入らずの時間だ。
ここは私達家族だけの部屋。窓からは月光と星明りが射しこみ、穏やかな風が通り抜ける。現在の季節は初夏、日中は少し暑いぐらいだが夜は涼しい。
「今日はリルフィ、よく頑張ったな!」
私とシェルフィアは愛娘の頭を撫でながら微笑んだ。
「うん!パパ、ママ今日は見に来てくれてありがとう!わたし、嬉しかったよ!」
屈託の無い満面の笑み。その笑顔を見ていると、私達はとても幸せな気持ちで満たされる。
「ふふ、リルフィはルナさんに似て何でも出来るのね!」
「いや、リルフィの性格はシェルフィア譲りだろ」
そんな事を言いながら、私達は終始笑いが絶えない。
「もう、パパもママも相変わらずなんだから!」
「ははははは!」
こうして、私達3人は眠りに就く為電灯(最近開発された、電気というエネルギーを用いる照明器具)を消してベッドに入った。
ベッドでは、私とシェルフィアの間でリルフィが眠る。勿論、城には夫婦用の部屋もあるし一人一人の部屋もある。今日は家族で眠る日なのだ。
リルフィが可愛い寝顔を浮かべて眠りについて暫く経った頃、シェルフィアが神術『転送』で私に意識を伝えてきた。
「(ルナさん、少しだけ屋上を散歩しましょ?)」
「(ああ、そうしよう。)」
リルフィを起こさないように注意を払いながら、私達は手を繋ぎ城の屋上へと向かった。
「今日も楽しかったね。リルフィがどんどん成長してくれて嬉しいわ」
月光を背にして、ずっと変わらないシェルフィアが嬉しそうに微笑む。
「そうだな、私もシェルフィアとリルフィがずっと傍にいてくれるだけで幸せだよ」
私がシェルフィアの肩を抱くと、すぐに彼女は私に甘えるように寄りかかってくる。
「うん……私も、ルナさんの子供を産めて幸せ。ずっと昔……でも昨日のように思える『約束』が叶って本当に良かったわ。私達は、奇蹟で出会って……奇蹟的に再会できた。これが、もし『運命』だったとしても私はずっとあなたの傍にいるから」
私は『愛』を命題に生まれたエファロードだ。しかし、今こうしてシェルフィアと共にいられる事、そしてリルフィがいる事……何より『永遠』を信じ、未来永劫変わらないという事は決して運命ではないと思う。例え、運命だとしても私は絶対にシェルフィア、リルフィを最優先にして生きていく事に変わりは無いだろう。