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 彼女の髪を撫でる。それでホッとしたのか、シェルフィアは穏やかな表情と共に寝息を立て始めた。

 私は風になびくカーテンを開け、仄かな月明かりの下でシェルフィアの手を離さなかった。

「……ルナさん、うっ!」

 突然……シェルフィアが苦しそうになる!

「シェルフィア!大丈夫だ……頑張れ!」

 ギュッと手を握り締める!今私が出来る事はそれぐらいだ!その後……数名の女性が部屋に入ってきた!

「皇帝!少し離れていてください!」

 女性が叫ぶので私は離れているしか無かった。そして、気が遠くなるような時間が過ぎていく……

 やがて夜が明けた時、待ち焦がれていた瞬間が訪れる。

 

「おぎゃぁ!おぎゃぁ!」

 

 私とシェルフィアに待望の子供が生まれたのだ!長い歴史の中で……エファロードと人間との間に生まれた最初の子だった。

「シェルフィア!よく頑張ったな……ありがとう!」

 私は思わず涙をこぼした。だが、シェルフィアは喜びに満ち溢れた最高の笑顔で私に話しかける。

「永遠の心が形になって現れたの……大切な大切な宝物。ずっと一緒に育てていこうね!」

 そんなシェルフィアが愛しくて、私は涙が止まらなかった。そんな中で、助産婦の女性が私達の子供に柔らかい布を着せて、シェルフィアに抱かせた。シェルフィアは微笑みを絶やさずに、我が子を優しく擦っていた。

「私にも触らせてくれよ!」

 そう言って、私は自分の子に触れた。とても、不思議な気持ちだった。自分が親になるなんて……そして、今にも溶けそうな程柔らかかった。女の子だ……私はずっと男の子が生まれるものだと思っていたが、予想に反して我が子は可愛らしい女の子だったのだ。

 

「リルフィ」

 

 シェルフィアがそう囁く。一体?

「この子の名前よ……ずっと考えていたの」

 彼女は私の方を見てニッコリ微笑んだ。生まれる前から名前を考えていたんだ。私には内緒で。少し驚いたが、嬉しい。

「いい名前だな。でも、その名前は何処から来たんだ?」

 私にはそれだけが気になった。

「それは、自分で考えてください!」

 意味深な態度……彼女は少しふくれていた。だが、答は簡単だ……その答を私はシェルフィアの耳に囁く。

「……当たりー!やっぱりルナさんっ……大好き!」

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